白菊大神とは誰か5~新羅は白菊、樒と青蓮華
2017/02/13(Mon) Category : 神社・寺・城・歴史
【石山寺を歩く】
●「新羅」=白菊(倭菊)----------------------------------
宋の菊譜に「新羅」という名の菊名が載っているそうです。その一名が「玉梅」、また一名が「倭菊」。
この倭菊が日本から渡った白菊で、新羅の前身は斯盧国(しろこく)ですから、菊の原字「匊」の読みが残っていれば「白菊」は「しろこく」と読めます。日本固有の白菊は、半島に渡って「斯盧国」の読みから「新羅」の字が当てられたわけです。
これは興味深いですね~。新羅と日本の類縁関係も伺われますし、何より日本書紀の神話で「新羅」と書かれているものは、実は日本のカムフラージュである可能性を示唆する事実ですね。
まぁこれも、「縄文古来は大陸由来へ」の一環なのでしょう。
もう一つ、「槻の木」と呼ばれている時代は植えることができなかった木(けやき)を、「欅」の字ができたからこそ堂々と植えることができた事を思い出します。
縄文由来の日本人が愛でたのは名もなき自然です。名前は二の次。対象そのものを愛したのです。ただ讃えるには、その対象を指す名前が必要です。けれど持統期以降、縄文古来の名で讃えることはできなくなった。けれど愛でたいし、植えたい。そこへ、異名や大陸由来の名をつけることで堂々と歌に詠むことができるようになったのでしょう。
菊は大陸由来のように思われています。家菊はそうなのでしょう。が、野菊(とくに白菊)は縄文古来、愛されてきた菊なのです。
●なぜ、白菊が弔いの花なのか?------------------------------
日本の切り花の流通量で菊はダントツだそうです。それは菊が葬式やお墓参りの献花として使われるからとのこと。
なぜ、弔辞で使われるのか?それは、1年の中で最後に咲く菊の品種があるため「最後」という意味が込められており、死の花として扱われるようになったという説もあるようです。
そして、弔いには特に「白菊」が選ばれるそうです。
菊は色によって花言葉が違いますが、白菊の花言葉は「真実」。
なぜ、その白菊が弔いの花になったのか? 何者にも染まっていない白は、生まれ変わる色、次の世界への旅立ちの色でもありますから、死に装束も白となり、そこから白菊が弔いの花になったという説があります。
さて、前記事で「菊」が瀬織津姫を表していたことがわかりました。
その菊の字は、花束の根っこなどを手でつかむ象形が入っていました。そこに、締めくくるという意味が付されます。
また、「白」が瀬織津姫カラーであることを思い出せば、菊の中でも日本固有の「白菊」が瀬織津姫を象徴していることがわかります。
そして、これもいずれ書きますが、瀬織津姫は三途の川の婆でもあるのです。(例:真田幸村―鹿の角に六文銭。六文銭は三途の川の渡し賃。鹿も三途の川も瀬織津姫を表していました。おまけに真田はおそらく「さくなだりに」からきたサナダでしょう。つまり、真田家は瀬織津姫を奉神する一族だったので、恐れられたのかもしれません)
というわけで、締めくくりの花である菊、中でも三途の川を渡してくれる瀬織津姫である白菊が弔いの花になったのでしょう。
白菊の花言葉が「真実」というのも、「裏見草」に通じますね。
●「樒」と「梻」----------------------------------------
古くは、神前には「榊」、仏前には「樒」(しきみ)を供えていたようです。花は黄白色で、実の周囲には8本の突起が出ているそうです。黄白は国常立神+瀬織津姫カラー。「八」は瀬織津姫ですね。
有毒で、実は植物としては唯一の劇物指定ですが、その毒が邪気を祓うとされ、実際樒を挿した水は腐りにくいそうですから、水を守り邪気を祓う―祓戸大神ですね。
独特の香りがあり、自宅での葬儀の際には、玄関に樒を立てて悪霊除けやお清めに使ったそう。
年中継続して美しく手に入れやすい上、香気が獣を遠ざけるので、仏教関連(供養など)で用いられたため、「梻」(木偏に仏の旧字)とも書きます。仏を守る木と言えば、上記の「槻の木」(つきのき)を思い出します。また、仏(毘盧遮那仏)を守る守護神として聖武天皇が勧請したのが瀬織津姫でしたから、「梻」の字で仏教の守護神・瀬織津姫を表していたのでしょう。
四季を通じて美しいので「しきみ」という名になったという説もありますが、私は「シキミ」とあったのをつい「ツキミ」と読んでいましたので、月見を連想する人も居るだろうなぁと思いました。もしかすると消された名前「槻の木」(ツキノキ)にかけ、またツキ(瀬織津姫)をミるかのような花(八葉弁)であることから「ツキミ」という呼び名ができ、それではまずいので、先に挙げた由来をくっつけて「シキミ」にしたのかもしれませんね。
●「青蓮華」--------------------------------------
その「しきみ」に「樒」という和字を当てたのは、空海が青蓮華(しょうれんげ)の代用として密教の修法に使ったからでしょうか。
青蓮華とは、鮮やかな青白色をしているハスの一種で、仏陀の眼の形容として用いられるそうです。
なるほど、蓮華といい、青白色といい、眼といい、すべて瀬織津姫ですね(これもいずれ書くと思いますが、空海も一休同様瀬織津姫押しです)
樒が劇物として一般から遠ざけられたり、弔いの風習から消されたりしているところに、瀬織津姫の痕跡を消し去りたい権力側の意図が見え隠れする気がしますが、この瀬織津姫を表す樒の代わりに白菊が用いられるようになったわけですから、庶民の知恵もたくましいなぁと思います。
なお、京都の愛宕神社では神事には榊でなく樒を用いているそうです。寺院ではないのに興味深いですね~。
<続く>
【Shaylee 「庭の千草」】
●「新羅」=白菊(倭菊)----------------------------------
宋の菊譜に「新羅」という名の菊名が載っているそうです。その一名が「玉梅」、また一名が「倭菊」。
この倭菊が日本から渡った白菊で、新羅の前身は斯盧国(しろこく)ですから、菊の原字「匊」の読みが残っていれば「白菊」は「しろこく」と読めます。日本固有の白菊は、半島に渡って「斯盧国」の読みから「新羅」の字が当てられたわけです。
これは興味深いですね~。新羅と日本の類縁関係も伺われますし、何より日本書紀の神話で「新羅」と書かれているものは、実は日本のカムフラージュである可能性を示唆する事実ですね。
まぁこれも、「縄文古来は大陸由来へ」の一環なのでしょう。
もう一つ、「槻の木」と呼ばれている時代は植えることができなかった木(けやき)を、「欅」の字ができたからこそ堂々と植えることができた事を思い出します。
縄文由来の日本人が愛でたのは名もなき自然です。名前は二の次。対象そのものを愛したのです。ただ讃えるには、その対象を指す名前が必要です。けれど持統期以降、縄文古来の名で讃えることはできなくなった。けれど愛でたいし、植えたい。そこへ、異名や大陸由来の名をつけることで堂々と歌に詠むことができるようになったのでしょう。
菊は大陸由来のように思われています。家菊はそうなのでしょう。が、野菊(とくに白菊)は縄文古来、愛されてきた菊なのです。
●なぜ、白菊が弔いの花なのか?------------------------------
日本の切り花の流通量で菊はダントツだそうです。それは菊が葬式やお墓参りの献花として使われるからとのこと。
なぜ、弔辞で使われるのか?それは、1年の中で最後に咲く菊の品種があるため「最後」という意味が込められており、死の花として扱われるようになったという説もあるようです。
そして、弔いには特に「白菊」が選ばれるそうです。
菊は色によって花言葉が違いますが、白菊の花言葉は「真実」。
なぜ、その白菊が弔いの花になったのか? 何者にも染まっていない白は、生まれ変わる色、次の世界への旅立ちの色でもありますから、死に装束も白となり、そこから白菊が弔いの花になったという説があります。
さて、前記事で「菊」が瀬織津姫を表していたことがわかりました。
その菊の字は、花束の根っこなどを手でつかむ象形が入っていました。そこに、締めくくるという意味が付されます。
また、「白」が瀬織津姫カラーであることを思い出せば、菊の中でも日本固有の「白菊」が瀬織津姫を象徴していることがわかります。
そして、これもいずれ書きますが、瀬織津姫は三途の川の婆でもあるのです。(例:真田幸村―鹿の角に六文銭。六文銭は三途の川の渡し賃。鹿も三途の川も瀬織津姫を表していました。おまけに真田はおそらく「さくなだりに」からきたサナダでしょう。つまり、真田家は瀬織津姫を奉神する一族だったので、恐れられたのかもしれません)
というわけで、締めくくりの花である菊、中でも三途の川を渡してくれる瀬織津姫である白菊が弔いの花になったのでしょう。
白菊の花言葉が「真実」というのも、「裏見草」に通じますね。
●「樒」と「梻」----------------------------------------
古くは、神前には「榊」、仏前には「樒」(しきみ)を供えていたようです。花は黄白色で、実の周囲には8本の突起が出ているそうです。黄白は国常立神+瀬織津姫カラー。「八」は瀬織津姫ですね。
有毒で、実は植物としては唯一の劇物指定ですが、その毒が邪気を祓うとされ、実際樒を挿した水は腐りにくいそうですから、水を守り邪気を祓う―祓戸大神ですね。
独特の香りがあり、自宅での葬儀の際には、玄関に樒を立てて悪霊除けやお清めに使ったそう。
年中継続して美しく手に入れやすい上、香気が獣を遠ざけるので、仏教関連(供養など)で用いられたため、「梻」(木偏に仏の旧字)とも書きます。仏を守る木と言えば、上記の「槻の木」(つきのき)を思い出します。また、仏(毘盧遮那仏)を守る守護神として聖武天皇が勧請したのが瀬織津姫でしたから、「梻」の字で仏教の守護神・瀬織津姫を表していたのでしょう。
四季を通じて美しいので「しきみ」という名になったという説もありますが、私は「シキミ」とあったのをつい「ツキミ」と読んでいましたので、月見を連想する人も居るだろうなぁと思いました。もしかすると消された名前「槻の木」(ツキノキ)にかけ、またツキ(瀬織津姫)をミるかのような花(八葉弁)であることから「ツキミ」という呼び名ができ、それではまずいので、先に挙げた由来をくっつけて「シキミ」にしたのかもしれませんね。
●「青蓮華」--------------------------------------
その「しきみ」に「樒」という和字を当てたのは、空海が青蓮華(しょうれんげ)の代用として密教の修法に使ったからでしょうか。
青蓮華とは、鮮やかな青白色をしているハスの一種で、仏陀の眼の形容として用いられるそうです。
なるほど、蓮華といい、青白色といい、眼といい、すべて瀬織津姫ですね(これもいずれ書くと思いますが、空海も一休同様瀬織津姫押しです)
樒が劇物として一般から遠ざけられたり、弔いの風習から消されたりしているところに、瀬織津姫の痕跡を消し去りたい権力側の意図が見え隠れする気がしますが、この瀬織津姫を表す樒の代わりに白菊が用いられるようになったわけですから、庶民の知恵もたくましいなぁと思います。
なお、京都の愛宕神社では神事には榊でなく樒を用いているそうです。寺院ではないのに興味深いですね~。
<続く>
【Shaylee 「庭の千草」】