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老親の預金・実家を「家族信託」することで痴呆対策も万全!

2019/01/26(Sat) Category : 二世帯同居・介護
母が亡くなったときに、葬儀費用について父が母の口座からお金を引き出そうとして引き出すことが出来ず困ったことがありました。わずかな貯金でも相続の対象になりますから凍結されるわけです。

私たちも世事に疎く、そのことを聞いてビックリして調べてみると、亡くなったときだけではなく、例えば父が痴呆症と認定されればその時点で父の預金も凍結され、父本人であっても自分の預金を下ろせなくなることがわかりました。子どもが委任状を持っていったとしても本人の意志確認が出来ないと認定されればダメです。

このことを知ってショックを受けた父は、テレビで家族信託の番組を見たこともあって、家族信託を進めることになりました。 母が亡くなって1ヶ月後のことです。

それから10ヶ月の紆余曲折を経てようやく家族信託の口座を開設できたのですが、その経験が、同じようにお困りの方の参考になると思いましたので記事にしました。

1.「成年後見制度」とは「財産の目減りを防ぐ」制度
2.「信託」とは
3.どのような信託があるか
4.「家族信託」とは
5.銀行の「家族信託」商品は使えない
6.家族信託成立までの紆余曲折

では、成年後見制度と家族信託はどう違うのかということから…



■「成年後見制度」とは「財産の目減りを防ぐ」制度-----------------------

成年後見制度は「判断能力のない本人(成年)の財産を守る」ことを目的とした制度です。

第一のポイントは、本人の判断能力がある間は、成年後見人は財産の管理ができないということ。つまり、「本人の判断能力がない」ことをどこでどう見極めるのかが難しいことです。
例えば、下に例が出てきますが、アパート経営などしていたりすると、後見人に移管するタイミングいかんでは経営がスムーズに行かなくなる可能性も出てくるでしょう。

次に、移管したらしたで次のような問題があります。
預金であれば、本人が亡くなって「相続財産」として扱われるまでは「預金を減らさない」ことが目的となります。その目的達成のために後見人(家裁が決めた人)が置かれ、本人の貯金は全て後見人名義の貯金に切り替えられます。なので、本人の預金を引き出すためには後見人の判断が必要になるため、その都度必要性を説明しなければなりません。

しかも、法の目的が「財産を守る」ですから、最終的には本人にとって利益になりうる行為でも、形式的にみて不利益になる行為は後見人(&家裁)に却下されます。
例えば、本人が孫のために何かを買いたいと思っても、認められるのは本人のためにのみ支出することだけですから認められません。
さらには、本人の望むものであっても必要なもの以外の支出は却下されます(預貯金は現金のまま維持するのが基本ですから)。


次に、土地建物などの資産がある場合―例えば、実家を賃貸していたりアパート経営していたりして、その物件を修理する必要が出てきた場合、それが老朽化や台風などによる修理なのか、居住者が払うべき修理なのかの判断を後見人にいちいち仰がなければならず、迅速な対応が出来なくなります。
さらに、賃貸契約の更新や現入居者の契約終了、新規受付などをする場合も、すべて後見人に判断を仰がなければなりません。


また、仮に親が痴呆症になって徘徊するようになったとしましょう。家族の負担が大きくなって痴呆症対象の施設に入居することになったとします。その入居費用を工面するために家を売ることは資産が“減る”ことになるため、自宅を売却しなければ現金がないなど合理的な理由がなければ家裁は許可しないようです。

それに、根拠資料を揃えて申立をし、許可が出るまでに時間がかかりますから、入居者待ちが増えていく状況にあっては、入れたい施設に入れるタイミングを失うこともあるでしょう。

いやはや、日常の判断の中にいちいち家裁が入ってくる上に、とても制限された窮屈な制度だと分かりました。これだけ窮屈なのは、後見人は毎年1回家裁に出納内容を提出しなければならないからです。さらに、その後見人が専門職の場合は毎月3~5万円の報酬を支払わなければなりませんし、後見人が専門職でなければ後見監督人に毎月1~2万円の報酬を支払わなければなりません。

このように「成年後見制度」はとても煩雑で、数々の制約があり限界があったので、痴呆症が増え続ける中、2007年(平成19年)9月30日に信託法が全面改定され、高齢化社会のニーズに対応する新しい社会的インフラとして福祉型信託が登場しました。それが、「家族信託」です。

では、そもそも「信託」とはどういう制度でしょうか。




■「信託」とは--------------------------------------

まず、「信託」という言葉になじみが少ないですよね。「信用・信頼・信託」の違いについて、ネットにも定義が書かれていますが、以下私のイメージ(定義ではなく個人的ニュアンスです)。
・信用 信じて用いる(主体性を手放していない)
・信頼 信じて頼む(主体性を一部相手に預ける)
・信託 信じて託す(主体性を手放してまるごと相手に任せる)

それで、制度上の「信託」とは、「自分の財産を、自分が決めた目的に沿って、自分が定めた人のために、信頼できる人に託して運用・管理してもらう」制度です。

1.自分の財産を
2.自分が決めた目的に沿って
3.自分が定めた人のために
4.信頼できる人に託して運用・管理してもらう

1 信託対象の財産を「信託財産」、信託依頼者を「委託者」(信託する人)
2 委託者が決める目的を「信託目的」
3 委託者が指定した人を「受益者」
  (自分の場合は「自益信託」、他人の場合は「他益信託」)
4 委託者が信託する人を「受託者」 といいます。

この制度が成立するカギは、「受託者」が「委託者」の目的を確実に遂行できる仕組みですね。財産を扱うのは銀行ですが、銀行は本人と預金が一意的につながっていますから、本人の預金を他人が管理するという発想がありません。

そこで、銀行機能の他に信託機能を有するシステムが必要となってできたのが「信託銀行」です。信託銀行は、信託法、信託業法等で厳しい義務が課せられ、豊富な知識と経験で、財産をしっかり管理・運用するわけです。

仕組みとしては、委託者の財産の所有権は受託者(信託銀行など)に移転し、受託者が信託された財産の所有者となり、受託者が目的に沿って実行していくことになります。




■どのような信託があるか-----------------------------------------------

信託銀行でどのような信託を扱っているのかを幾つか挙げてみると…

1.結婚・子育て支援信託
1年間に贈与を受けた額が110万円を超えると贈与税がかかりますが、結婚・子育て支援信託を使えば、1,000万円まで贈与税がかからず子や孫の結婚、出産、教育費を援助することができます。税務署への申請などの手続きも全て信託銀行が行います。
仮に祖父母が孫の教育・結婚費援助の信託をし、祖父母が亡くなった場合でも、祖父母の意志どおりに孫の教育・結婚費用として信託銀行が実行していくことになります。

2.遺言信託
予め遺言を作成し、信託銀行等に遺言書の保管と遺言の執行をお願いする仕組みで、相続時のトラブルを防ぐことができます。
さらに、遺言は自分の財産を誰に相続させるかまでしか指定できませんが、遺言信託では二次相続(相続させた者が亡くなった後の取り決め)も指定することができます。
また、相続人がおらず、財産を社会に役立てようと寄附する場合なども、事前に取り決めて遂行することができます。

他にも、「ためる・ふやす(資産運用)」「まもる(資産管理)」「つなぐ・ゆずる(資産承継)」「やくだてる(社会貢献)」など、色々な方面で信託制度は使えるようです。

さて、これまでの信託は、「信頼して第三者(主として信託銀行)に託すこと」を言っていましたが、「家族に託す」ことを目的に「家族信託」が登場したわけです。




■「家族信託」とは-----------------------------------------------------

家族信託の仕組みを信託制度に即して説明すると次のようになります。
1.自分の財産を
2.自分が決めた目的に沿って
3.自分のために
4.家族の誰かに託して運用・管理してもらう

1 信託対象の財産を「信託財産」、信託依頼者を「委託者」(信託する人)
2 委託者が決める目的を「信託目的」
3 「委託者」=「受益者」となります(自益信託)
4 委託者が信託する家族を「受託者」 といいます。

信託財産(預貯金や家屋などの物件等)を託された受託者は、委託者の目的に従って財産を管理・運用・処分できます。運用における収益(賃貸収入等)は委託者(受益者)のものです。

この制度を成立させるための仕組みは、貯金なら家族信託を扱う銀行に新たに受託者名義の口座を作って移管し(後見制度で後見人名義の口座を作るのと同様)、そこで委託者に関わるお金の出し入れを受託者が管理します。受託者は確定申告の際、信託財産に関する明細書を別に作成して添付しなければなりません。また、管理が適切にできているかどうかを家裁ではなく民間業者(司法書士)が監査します。


たとえば、親の預金や実家(土地・建物)の名義が子に移り、子が実際の管理者になります。親が賃貸経営をしている場合などは、その賃貸物件も子の名義となり、その物件の修理、入居者との契約など、子が当事者として実務を担うことになりますが、賃貸収入は親のために使われることになります。

仮に、親が施設に入るために資金が必要となった場合、資産を売却して費用を捻出することもできます。
また、親が亡くなった後に実家をどのように処分するのかを、そのまま子(受託者)が決めることができるわけです。

これらの詳細を委託者と共に決めていくのが司法書士で、公正証書により親子間での契約が成立し、資産の運営が適切になされているかどうかを司法書士が監査するわけです。つまり、子(受託者)は、信託財産の実質管理、及びそれに伴う入出金の確定申告をすることになるわけです。

尚、上記のように信託財産は子(受託者)名義とはなっても、子個人の資産とは切り離されて管理されていますので、万が一子(受託者)が破産したとしても、破産の影響は受けずに保全されます。




■銀行の「家族信託」商品は使えない---------------------------------------

さて、この制度は痴呆症が増えている現在、親の資産をスムーズに継承できる制度として注目されたため、銀行なども「家族信託」「ファミリートラスト」などの“商品”を揃えていますが、【「信託」とは】のところで見たとおり、そもそも銀行は信託業務が法的にできません。

では、どういう商品を用意しているかというと、「預けた人が亡くなったら指定した人にお金が支給される」というタイプのもの。つまり、冒頭の『母が亡くなったときに、葬儀費用について父が母の口座からお金を引き出そうとして引き出すことが出来ず困ったことがありました。わずかな貯金でも相続の対象になりますから凍結されるわけです。』―という問題にのみ対応するものです。

銀行の「家族信託」とは名ばかりで、物件は扱いませんので、実務的に使える“商品”ではありません。
では、信託銀行なら安心かというと、たとえばみずほ信託銀行の「家族信託(安心の贈りもの)」、三菱UFJ信託銀行の「家族安心信託」を見てみると、全く上記の“商品”のみですね。

いかに「家族信託」が黎明期なのかが分かりますが、銀行は信託制度そのものになじみがなく、信託銀行も商事信託は知っているけど小口の「家族信託」(民事信託)はうまみがないことから、扱うところが少ないようです。というよりも、銀行員自身が「家族信託」とはどういうものかを知らないようです。

実際、家族信託の公正証書ができて、それに従って父の定期預金を郵貯から別銀行に移管しようとしたときに、郵貯の方から「家族信託という言葉は聞いたことがあるが、扱ったことはない」と言われて、定期解約と移管の手続きに父を連れて行かなければなりませんでした。

移管ができたときはホッとしましたが、今後社会的インフラとしてとても大事な機能になってきますから、きちんと「家族信託」を扱う銀行にどんどん資産の移動が始まる可能性があるでしょう。


さて、次の記事では、どのような紆余曲折を経て家族信託の成立に至ったかを記します。




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