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「海獣の子供」感想<第2部> 脚本で生きるか、気持ちで生きるか―その堺の超え方

2019/06/30(Sun) Category : 映画
【「海獣の子供」感想】

虚構が現実に落とし込まれる----------------------------------

鬱々と自分の世界に沈んでいる母親。
実は、その姿は自分の脳内母親に見せている姿。

無意識に「母の子」として生き続けていて「子の母」になる気はない。
だから、目の前の家族は眼中にない。

夫は繋がらないために選んでいるし(お互いにね)、
子供は、自分の脚本劇場を見る“目”(観客であり証人)の役。

子供は、そういう母親を常にどこかで気にし、何とかしたいと思ってもいる(無意識に母親を意識し続ける“目”の役をしてしまっている)。

“目”の役(母親の母役)を担った子は、外へ出ること、楽しむことに後ろめたさや罪悪感を覚えるようになる。家に子供(母親)を置きざりにしてきた母親のような心性が芽生えるのだ。

こうして、虚構界(人生脚本)での転倒した配役が現実界に影響を及ぼし始める。たとえば小1なのに、学校から早く帰らなきゃ、とか、先生が訪問してきた際に「お茶を出さなきゃ」と思ったりする。

それは、脚本劇場の舞台の上ではホンモノ感情だが、舞台を下りればそれがニセモノと気づくだろう。けれど、舞台から下りたことはないので、演出感情やダミー感情をホンモノと思って脚本人生を歩んでいくことになる。“子供”を経験できない悲しみと怒りと恨みを無意識に抱えながら。





加奈子と琉花の連鎖----------------------------------

「伝説のトリーター」と呼ばれていた加奈子。
トリーターとは、「生物を飼育(treat)し、お客さまをおもてなし(treat)する新江ノ島水族館のスタッフの呼称」だそう。なんと凄いネーミングがあったことか。

加奈子もまた、生まれたときから言わば“母親訓練”をされて、配慮スキルが身についた人なのかもしれない。
けれど、役割で生きている間は自分(小さいちゃん)とは繋がっていないので、自分は空洞化していく。
その間、「心のダム」にたまる一方の感情はどんどん重くなっていき、やがてダムの底に沈んだように動けなくなる。

“目”の役の子供は母親以外を見てはいけないので人と繋がってはならず、自分を閉じ込めなければならない。つまり、引きこもり、自閉していく姿が“目”の役の完成形だ。

琉花もまた、加奈子と同じ道の途上にいた。





脚本人生に自分を落とし込むやり方-----------------------------------

「動くに決まってる!」と空駆ける琉花。
その裏で、自分を閉じ込める脚本は着々ときっかけを狙っている。
自分が関わった人は、誰がどういうキャラかを脳は全て記憶しており、そのキャラをどのように利用できるのかを脚本は練り込んでいるわけだ。

母親のことがままならない琉花の中でモヤモヤ・イライラは蓄積し、発散衝動が起こる。このチャンスを脚本はまっていた。
部活で、「私は空を飛べる!」「動くに決まってる!」と発散したとき、これ見よがしに「脳内加奈子」に見せている部分があるので、それにフックされる人間が出てくる。

それがあのチームメイトで、何か仕掛けて来るであろうことも想定内(白の体操着に焦げ茶のベスト―色合い的にも「代理加奈子」でしたねw)。
子を閉じ込めたい母親は子の足を止める(ICは下半身に宿っているから&禁止令の象徴)けれど、まさに足をかけてきた。

日々母親にされていることをされたので、鬱憤爆発。
琉花は顔面に肘鉄を食らわした。(IPは脳に宿っているから)

母親にしたいことを級友にしてしまった。
完全に代償行為だったが、謝ることができない。

だって自分は無条件に一方的に母親に奪われ、
その母親から謝られていないから。

この謝れない気持ちも脚本は利用した。
そして、部活の先生が「来なくていい」と言うであろうことも想定内。先生が違うタイプであれば別の展開もあっただろうし、この計画が発動しなかったかもしれないが、この二人が揃ったので、この計画が発動したわけだ。

この流れで行けば、自分が部活に行けない=人と繋がらないことを、人のせいにできる。「私は行きたいんだけど、こんなことになっちゃったから…」―これは、動きたい「るかちゃん」(インナーチャイルド)に対する言い訳を用意するために仕組んだこと。そう言い訳しながら、「人と繋がらない」脚本に自分を落とし込んでいく。





脳内母親との「一人隠れんぼ」------------------------------------------

教室で思わず椅子を押しまくる。
“押す”行為は、「寄ってくるな、うざったい」思い。

「空の椅子」は、黙ってそこに居るだけで「かまってオーラ」がまとわりついてくる加奈子。

けれど、押しのけた「空の椅子」達が「脚本琉花の子宮」となって、その中で寝転ぶ。

なぜ、そこから出ない?
母親はウザいけれど、母親に見つけて欲しいから。
だって、まだ認知されていない子と同じ。こんなに悔しく空しく悲しいことはない。

こうして、もんもんとしながらも脚本に絡め取られて「一人隠れんぼ」の世界を生きていく。このままであれば、母親・加奈子と同じ道をたどっていたかもしれない。

夏が始まるのか、それとも、このまま閉じた冬に向かっていくのか。
琉花は、道の分岐点にいた。





坂は境----------------------------------------------------------------

分岐点は坂だった。
その坂を転げ落ちるように走り下る。

坂は、斜めを表している。
西洋が真上(天)に対して跪くのに対し、日本人は斜め上に拝む。
朝日や夕日、宵の月―視線は斜め上だ。

サ(方向を表す)カ(日)なら、日の神に向かっている。
サのカ(処)なら、瀬織津姫(サの神)のおわすところ。
日の神に向かう瀬織津姫のまなざしを感じる言葉だ。

サカは「境(さかい)」であり、境といえばあの世とこの世を繋ぐ「黄泉比良坂」(よもつひらさか)。
その黄泉比良坂でイザナギがイザナミと離縁するときに掃之神(はらいのかみ)として生まれたのが事解命(ことさかのみこと)。全国の熊野神社で祀られるこの祓いの神は瀬織津姫。

別の漢字で「言離神」とも書き、それは一言主神の別名でもある。別の所でも触れたと思うけれど、一言主も瀬織津姫。

三途の川のお婆も瀬織津姫であったことを思い出します。

そして、この境とは、虚構界と現実界の境も表している。





坂は、逆→解→離→栄の順で昇れ-----------------------------------------

昇るためには、一度逆に下らなければならない。
自分の中に潜って潜って、解って、母子分離して、そこから弥栄(いやさか)の道を昇っていく。

逆(さか)→解(さか)→離(さか)→栄(さか)の順だ。

琉花は、生命の源に遡り(海と空に赤ちゃんから育て直しされ)、解って母親から卒業し(母子分離し)、気持ちと共にある弥栄の道へと回帰した。

これを言い換えると、虚構界は眠りながら生きている、言わば「マトリクス」の繭の中の状態。この中途半端な迷宮(冥界)から抜け出るためには、一度黄泉比良坂を下り(記憶をたどって幼児期に遡り)、目を背けずに直視して母親の真実を知る(エンプティチェアで母親の実相を実感する)。

そこで母子分離する決意をして黄泉比良坂を昇り続ける。その間ハラスメント界からの追っ手がかかり、自分が試され続ける。けれど、本当に「小さいちゃん」と繋がって光りになったとき、闇の側は眩しいのがイヤなので追い出し始める。そういうことが起こったときが、自律に向かっている証。





投影しないところから本当の関係性が築かれてく--------------------------

ラスト―坂道にさしかかった琉花の元へ転がってきたボール。
見上げると、あのチームメイト。

無意識に代理母と見なしていたから、見せつけていたし代償感情が沸き起こっていた。それに呼応するように相手からも引き出していた―その相手。

けれど、その思いは母親への思いであること、その思いを自分が受け止めなかった(気づいていない)から苦しかったこと、気持ちは自分が実感してあげれば気が済むこと―それらが分かって、もはや屈託はない。

チームメイトの向こうに青空が広がっている。
そして、琉花の背後には海が広がっている。

空と海に見守られ、
心置きなく人と繋がれる

これから、「人生」の夏が始まる―










【Do As Infinity 「陽のあたる坂道」】




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