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「長いお別れ」 6.レーズンの場面に見る衝撃の深さと怒りと悲しみ、そして虚構vs現実

2019/07/22(Mon) Category : 映画
【「長いお別れ」に見る家族問題】

親の呆け症状に出逢ったときの衝撃----------------------------

さて、誕生日会で昇平はおかしな様子を見せ(←映画のはじめの方のシーンです)、そこで初めて子供達は愕然とします。昇平がポテトサラダから一粒づつ取り除いたレーズンを芙美が懸命に戻すシーンがありますが、その気持ちが自分の体験に即して、私なりによく分かりました。

おそらく、元に戻すことで、取り出したという事実を消したかったのではないでしょうか。つまり、父親がおかしなことをしたという現実を無かったことにしたかった―そういう必死な思いと動揺が伝わってきました。

私も、母が入院して見舞いに行った時に、わずか入院2日というのに、まだら呆けになっていて衝撃を受けたことがあります。話をしている最中に、地域や時代が錯綜して混じり込んできたときに、時空が崩壊していく、枠組み崩壊の恐怖と言おうか、わななきと言おうか、足元が抜けたような心許なさ、悲しみや虚無が入り交じった複雑な感情に襲われました。

予期していなかったので、想定外の衝撃と動揺の中で、「ここに置いていたら、ヤバい!」と痛切に思ったことを覚えています。
その後同居の話をし、それが希望となり、たった一晩なのに翌日には表情明るく、声に張りがあり、矍鑠たる全くの別人になっていて、病院の方皆さん驚かれていました。

まだら呆け状態から一転、恐らく人生で最もしっかりした人間になっていた母の口から、ハッキリとした力強い口調で「希望」という言葉が出、希望を持つとこんなに人は変わるのかと言うことを目の当たりにしました。





料理や食卓は母親の脚本を現す-----------------------------------------------

芙美は現実をなかったことにしたいからレーズンを戻した―その他に芙美はレーズンに何らかの思い入れがあるようです。確かキッチンカーか何かで売り出す商品の中にもレーズン入りのものがなかったっけ…。

料理や食卓は母親の脚本が最もよく現れる場です。
食事時は気持ちが最も出やすい場なので、親が気持ちを見たくない度合いによって、子供に気持ちを出させない工夫が様々になされています。
座る席によって、どの子が代理母かも家族中に暗示されています。

また、料理は脳内母へ忠誠を見せる見せ場なので、脚本によって様々な形態をとります。
・料理が上手なことを見せるのであれば、料亭のような料理を出す。
・高い食器を使って緊張させ、リラックスさせない(感情封じ)
・脳内母が好みそうな料理ばかりを作る。
・自分&脳内母親カラーの料理ばかり作る
・料理が脳内母を越えてはいけなければ、その程度に応じた下手さを維持する。
・まずいことを舌が馬鹿になっていたせいにできるよう、わざと酒他を飲みながら作ったりする。
・焼いても赤みが残る、ゆでてもどこかに堅さが残る、揚げても火が通ってない部分があるなど、不完全な料理を出す。
・一見普通だが、必ず冷めている
・普通に作るが、自分の分だけは残り物などで常に貧相
・普通に作るが、自分の分は例えばご飯に水をかけるなどまずくして食べる
・普通に作るが、自分は作りながら食べて家族と一緒の食卓には着かない
・父親(代理母)の分だけ別料理
・子供向けの料理は一切作らないか、作るとしてもどこか“工夫”してまずく作る。
・逆に大人にさせないために、ご飯にほぐした切り身を載せるなど、幼児扱いの出し方をする
・食卓で気持ちを上向かせないため、どこか気色悪い料理を作る
・生活習慣病(糖尿病、高血圧、心臓病など)にさせるために、塩・砂糖・醤油などを大量に使った料理を作る。
・料理自体作らず、冷凍物や惣菜で間に合わせる

等々、食卓の席次や料理の内容などから、かなり色々なことが見えてきます。

加えて子供の頃に嫌いだったものを伺うと、それはその食材自体が嫌いなのではなく、その調理された食材の色、見た感じ、食感、それらから無意識は母親をイメージしていたことが分かってきます。

例えばチャーハンのような交ざったものの中から、一粒一粒緑の豆が嫌いで取り出していたとします。これは、日々母親の価値観に浸食されている中で、もうこれ以上母親を取り込みたくないというインナーチャイルドの抵抗が、好き嫌いというカタチを借りて母親カラーをはじき出していたことだったりします。これで、「私はお母さんが嫌いだったんだ」と気づけば、豆嫌いも消えます。





レーズンの意味-----------------------------------------------

人が連発したり強調したりする言葉は脳内母親に聞かせている言葉ですから、仮に芙美がレーズンにこだわっていたとすれば、芙美の中ではレーズンは曜子である可能性があります。

すると、これまでそのサラダを食べてきた昇平がレーズンを取り出したということは、認知症になって本音が出たら、昇平は曜子を嫌いだったとも取れ、そこまで表層意識で説明がつかないにしても、相当衝撃的なことだったでしょう。

けれど、認知症になったことで昇平のチャイルドが顔を出したとすれば、そのレーズンは昇平の母親だったのでしょう(←とはいえ、曜子が代理母ですから、そういう意味では同じになってきますが)。

いずれにせよ、姉妹が理想と思ってきた両親が仮面夫婦だと分かることは絶望です。インナーチャイルドは家族が心で繋がっていないことを知っていますから、それが表に出てこないように懸命にレーズンを戻したのかもしれません。
あるいは、「曜子の手」として忠実に動き、何事もなかったかのように現実を虚構界に戻したのかもしれません。





レーズンを戻した3つめの理由-----------------------------

さて、娘達の衝撃と当惑とは裏腹に、曜子は平然としたもの。その様子に子供達は戸惑いと違和感を覚えたことでしょう。

もう半年前からと言うのであれば、何故その兆しが現れたときに相談してくれなかったのか?
何故そのことを黙ったまま、「誕生祝い」ということで招集をかけたのか?
これまでどうしていたのか。これからどうするつもりなのか?

謎だらけです。それは曜子が現実に即した対応をとっていないから“謎だらけ”になってしまうわけで、まさにそこに謎の答えが隠されています。


ここに、芙美がレーズンを懸命に戻した、さらなる理由があるように思えます。というのも、これまでちょっとしたことで呼びつけられ「曜子の手」として生きてきた芙美は、だからこそ、この重大事に呼ばれなかったことに何らかの違和感を感じたかもしれません。

実際、後で昇平と本のやり取りをすることで、直接的に昇平の異常を実感し確認していますが、久々に出逢ったこの日には、既にまともなコミュニケーションが取れなかったのです。ということは、この先ますます取れなくなっていくということです。

ちゃんとコミュニケーションが取れる間に話しておきたかったことだってあるはずです。なのに何故こんなになってから知らせたのか。「お母さん酷い!!」―そういう思いもあったでしょう。が、そこを突き詰めていくと、ボロボロと芋づる式に母親の実相が分かってしまうことになりかねません。だから、この怒りも封じなければなりません。

だから、なんとしても父がおかしくなっていることを認めたくなかった。その行為がレーズンを戻す行為となったのかもしれません。




父の様子を知らせる半年の時差が物語ること-----------------------------

ではなぜ、曜子は兆しがあった時点で知らせなかったのか。それは曜子の脳内世界に入ってみると分かります。曜子にとって昇平は代理母=自分だけのものですから、自分以外と繋がってはいけません。

また、曜子は自分の感情を見ないために意識を外に飛ばしたい人ですから、手のかかる夫がいるのはウエルカムです。なので、母が私に会って正常化したように、昇平が娘達に会って認知症の進行が止まるのもダメです。

そこで、ここまで来ればもう後戻りはないだろうと踏んで、丁度昇平の誕生日というきっかけがあったので、その日に公表することにしたのでしょう。



この半年間の時差は実に大きな展開の差を生むのです。
というのも、半年前に公表していれば、娘達の意識は父親に向かうでしょう。けれど、半年後のこの日の状況以降であれば、もはや父親とのコミュニケーションは無理なことが分かるので、その父親をどう面倒見ていくのか―つまり、母親の方へ視点が向くわけです。

実際、父親の死を子供に知らせなかった母親も沢山います。異常に思えることがどんどん増えているのが、存在不安者が量産されている現代という社会です。











【V[NEU] 「LAB」】








<続く>



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