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「長いお別れ」 7.昇平の人生脚本と万引き事件の深層

2019/07/23(Tue) Category : 映画
【「長いお別れ」に見る家族問題】

万引き事件の違和感----------------------------------------------

想定していないから虚を突かれて大きな衝撃になることがありますが、私にとって大きな衝撃は、「311」(2011)と母のまだら呆けに直面したとき(2014)でした。

「311」の時も心の岩盤に亀裂が入りインナーチャイルドが噴出しました。死を突きつけられ、このままでいいのかという問いが駆け巡りました。そして、当時両親が住んでいた高山移住まで考えたのです。この時、「今移住したら一生恨む。けれど、仕方がない」と息子が言った一言で目が覚めました。私も、まんまと衝動を脚本に利用されていたわけです。

なので、アメリカにいて詳しい様子も分からない麻里が、「311」を心配して居ても立ってもいられない様子はよく分かりました。一方で、心配の電話を受けた曜子の無意識は、今がチャンスと捉えたはずです。

(↑自分の存在確認に飢えている人は、常にひもじくて仕方が無い人と思って下さい。そういう人は、食べるチャンスがあれば瞬時に手を出します。チャンスがなければ作ることさえします。そこに倫理や善悪など介在する余地はありません。そういう次元で生きています)

そして、夫婦でスーパーに行ったときに昇平が万引きする事件が起こったのです。
これも違和感ありまくりでした。認知症の夫といるわけだから、常に離れず傍にいるはずだろう。ならば、動作もおっとりした昇平がモノをポケットに入れるところなど必ず分かるはず。現実的に考えるとリアリティがありません。

けれどそれが実際に起こってしまう。それこそが曜子が虚構を生きている証拠なのですが、その謎解きをする前に昇平の脚本について見ておきましょう。





昇平の人生脚本-------------------------------------------

家では書斎にこもる本の虫、外では校長まで務めた昇平は、家では資格ゲットのために本にかじりつき続け、外では工場長や町内会長までやった私の父とよく似ていると感じました。

父の場合は資格を取りたいから勉強したのではなく、「勉強せぇ」というツタ(脳内母親)に日々その姿を見せるために、次々に資格に取り組んだのでした。
脚本人生は虚構であるが故に「カタチ」に見せようとします。ウソだからこそ「証拠物件」を必要とするわけです。父が辞典類を揃えたのも、勉強しているというカタチを整えるためでした。

昇平が大事な本と言いつつ(間違えて)国語辞典を渡しますが、実際、昇平の脚本人生を支える大事な本だったのでしょう。暇なとき、脳内母親に見せるカタチとして国語辞典を読んでいたのかもしれません。だから、孫から「漢字マスター」と呼ばれるくらいになったのかもしれません。

昇平が認知症になってから本を逆さまに読んでいる姿は象徴的で、「勉強しているカタチさえ見せればいいという虚構界の在り方を見せつけているようでした。

また、勉強の成果として「校長」という肩書きも欲しかったのかもしれません。私の父も、最後にとった「樹医」の資格証を自分そのものであるかのように大事にしていました。

昇平も私の父と同じく、脳内母親に自分の姿を見せるために一途に生きた人なのでしょう。言い換えれば、脳内母親が絶対神として君臨しており、その命令には絶対服従で生きています。

父は、レストランに行くでも「どこでもいい」、メニューを選ぶ際は「皆と同じでいい」と自分の意思を表明しません。好き嫌いを示すことは「自分と繋がること」(母以外を見ること)ですから、こういう些細なことでも、自分(小さいちゃん)を無視し、脳内母親に忠誠を見せているわけです。

自分の心に絶対に立ち入らない父は、相手の心にも立ち入りません。
「私、またダメになっちゃった。繋がらないって辛いね」と泣く芙美のおでこに手を当てて「熱はないから」という昇平は、もちろん呆けての言動ですが、心には立ち入らないけれど、自らの限度内で精一杯の愛情を示しているように思えます。


また、父は「目的と用件だけ言え」「して欲しいことだけ言え」と言う人でした。自分の意志で動くと手足ではなく“人間”になってしまいますので、行動するためには指示が必要となるわけです。なので、“自由”だと動くに動けないので、逆に喉から手が出るほど指示命令が欲しいわけです。

(会社では動き回って活躍しているのに、帰宅して一人になった途端、電池の切れた人形のように身動きできなくなる人がいましたが、それはその姿カタチを脳内母親に見せているわけです。)

この父の姿が昇平とダブります。そして、昇平が脳内母親に絶対服従で生きているということは、表面的にそう見えなくとも、代理母(曜子)にも服従して生きていたということです。これを前提に万引き事件について考察してみましょう。





万引き事件の深層-------------------------------------------

曜子は、放射能を心配する麻里から、外出するときは帽子とマスクを付けるように言われました。ストローク飢餓の曜子にとっては、これだけでもおいしい餌ですから、人目を引くこの提案は無条件に採用です。

(我が子に人目を引く格好をさせて連れ歩く母親―というケースによく出逢いますが、このときストローク(視線)を得ているのは母親の方です。子供は広告塔や看板の役割です)

さらにご馳走(強いストローク)にありつくためによく用いられるのが万引きです。そして、それをしてもおかしくない「手」(夫)がいます。
参考【万引きの心理-なぜ、分別ある大人や高齢者が万引きするのか】

恐らく、曜子はスーパーの中で、帽子にマスクという怪しさ満点の姿の昇平を放置した。虚構界では放置=黙認です。もし、これまでも一緒に買い物に来ていて、いつもはくっついて歩くのに、この時、この格好で放置されたとすれば、それは「取れ」という指示が下ったということです。だから、買い物籠にではなくポケットに入れるわけです。

(いつも手を繋いでいるとして、手を繋がなければ、そこに「意図」を感じるわけです。
通例、何を黙認するか、それは日常の言動の中に織り込まれて暗示されています。その暗示を実行するチャンスが来たときに放置(黙認)するので、その時は“それをやれ”と命令が下っているときなのです。何やら抽象的でわかりにくいと思いますが、実はこういう事例はとても沢山あって、いずれ書くこともあろうかと思います)

放置された昇平は自分の欲しいものをポケットに入れ、それを暗に知りつつ曜子は確認しないままに出ようとした。この時、怪しさ満点の姿の昇平が捕まることも曜子の想定内だったはずです。

―この全プロセスを深層心理的に言えば、曜子の指示に従って昇平が万引きしたということです。昇平の脳内(虚構界)では指示に従ってやっているわけですから、悪びれるはずもありませんでした。

つまり、万引き事件の深層は、曜子がストロークを得たい(自分の存在を確認したい)から―というシンプルなものだったのでしょう。

もう一つ、事実を追っていけば分かることですが、手足である芙美が迎えに来て、そこから姉に連絡が行き、心配した麻里がアメリカから飛んできました。つまり、「目」役である麻里を呼び寄せるために、夫を道具に使ったということです。















【GARNiDELiA 「Error」】





<続く>



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