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「長いお別れ」 9.ひたすら“母”を求め続けた曜子

2019/07/25(Thu) Category : 映画
【「長いお別れ」に見る家族問題】

入院中の曜子の奇異行動の意味-----------------------------------------

曜子のありようがよく現れている場面が網膜剥離で入院したときでした。
まず、私の体験事例から言えることは、ストローク飢餓の人は自分の存在を感じるために障害を背負いたがるということ。「○○しずらい」ことが、自分という存在を感じさせるわけです。

それに虚構を生きているため、父の項で書いたように目や耳が不自由であることは都合がいいので、網膜剥離や難聴になる方がいらっしゃいましたが、曜子は左目が網膜剥離していることになっていましたね。まさにチャイルド側(右脳側)を閉じさせようとしていたわけです。

さて、曜子はこのことを子供達に告げると手術することになると想定できたはずです。手術することを選んだのは、この先、子供達が気にしてくれる要因が増えること、及び将来的にまた煩うこともできるからでしょう。

曜子は、まず手足である芙美を呼び、出番を与えられた芙美は「見せ場」到来ですから一も二もなく父の介護を引き受けます。そして、当然芙美から麻里に伝わり、麻里は心配して「目」の役をすることになるでしょう―すべては神(曜子)のシナリオ通りです。



入院中の様子が、まさに天然風ストローク飢餓者の姿を彷彿とさせていました。視線を得るためには何でも利用する事例を多々見てきましたので、「あぁやってるやってる」という感じで見ていました。

まず、「指示された」ということを利用して、洗面器に顔を俯せにしたまま話をする場面。次に、病院の廊下で見知らぬ人に挨拶する場面。いずれも相手は奇異に感じて注目しますよね。

まぁこれは、病院という自分と向き合わざるを得ない場面で、ひたすら医師の指示に意識を向けることによって意識を心に向けないという対策でもあったのでしょう。


また、入院してきた夫の病室についたときに、頭を夫の胸の所にではなく向こうずねの辺りに乗っけたのが驚きでした。「母親以外とは繋がるな」ですから、胸には行かなかったのでしょう。そして、足の体温に触れたとき、曜子の脳内では「代理母」に触れていることになっていたのでしょう。

昇平がもし認知症でなかったとしたら、これは淋しかっただろうなぁと思いました。





延命措置した理由------------------------------------------------

「惚け逃げ」に入っていた昇平が入院するということは、もはや「逃げ場なし」ですから、当然意識を無くす方向に向かうでしょう。医師からも延命措置をしても意識は戻らないことが告げられます。娘達も、お父さんの思いとしても延命は望んでいないだろうと話しています。

見ている私も、次のような思いが湧いていました。

昇平はここまでよく頑張った。
脳内母親に忠実に生きた上に、
ギリギリを乗り越えて一瞬自分と繋がったし、
痴呆症になった後で娘達に自律の種を植え、父親となった。
よくやったよ。本当に頑張ったよ。
精一杯を生きたよ。
さらに、自分と繋がらずに生きるとこうなるぞ、と身をもって示してくれ、
そこまでやって、いよいよ逃げ切れなくなって意識を閉じたんだから、
もう 楽にしてあげてよ。
それが、昇平に対する恩返しだよ。


「お父さん、長い間ご苦労様でした。お世話になりました。
 あなたと歩いた人生は楽しかった。
 後のことは大丈夫。私に任せて下さい。
 ありがとう。
 また、あちらで会いましょう。私が行ったら案内して頂戴ね」


―もし本当に愛していれば、そう言って冥土の旅に旅立たせてあげたことでしょう。・・・なぜか、涙が溢れます。





-------------------------------------------
が、有無を言わさぬ迫力で、曜子が娘達の口を封じ、人工呼吸器をつけることになりました。あぁ、これで、自分で呼吸できなくても生かされ続けられるわけです…。

けれど、曜子の中に入ってみると、その措置は当然なのです。
そこには体温を持ちながら昇平という人格を失った“人形(ひとがた)”がいて、娘達が見に来ることは殆ど無くなるでしょう。ということは、「自分だけの代理母」として、ある意味完全体ができあがるわけです。もしかすると、この段階をずっと待ち望んでいたのかもしれません。だから、ここからがスタートなのです。

そこにはそこでの切なるものがあります。

ふと、母親の首を切り落とし、その首と共に一時を過ごしていた少年の事件を思い出しました。(決して一線を越えてはいけません。彼が母親と自分は同じ空間にいても、全く異なる脳内時空を生きているのだと理解することができていれば、と悔やまれます)

また、自分の気持ちを見ないために、常に意識を飛ばせる存在として置いておくことも必要でした(と言っても、亡くなったら亡くなったで、「天国から見ている」「位牌が見ている」と、いくらでも対象化できるので大丈夫なのですが)。

昇平は、さらに1年間、曜子のためによく頑張ったと思います。








頑張った昇平に、せめてこの歌を贈りましょう。


【樋口了一 「手紙~親愛なる子供たちへ~」】






<続く>



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