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時代に翻弄されるカイシャイン

<前項の続き>

さて、『2,社会人になるということは、「会社人」になることを意味するようになった』と書きました。では、カイシャインがどのように扱われてきたのか、眺めておきましょう。

1950年代、カイシャインは労働者の過半を超え、

黄金の60年代、会社への忠誠心と引き替えに正社員の囲い込みが始まり、三菱系の人がキリンビールを飲むなどの差別化、系列化、帰属意識の強化が始まります。

高度成長の70年代、正社員のパーツ化が起きます。専門と階層が細かく分かれ、タテヨコにヒエラルキーが出来上がり会社は完成します。

80年代バブルが起こり、過剰な豊かさの中でフリーターが発生。会社のモラルが一挙に低下し、会社自体がサティアン化していったこの時代、この間に発生し勢力を伸ばしたオウム真理教は時代のあだ花でした。

そして一転、失われた10年といわれる90年代を迎えます。浮かれていたカイシャインは頭からリストラという冷水を浴びせられました。



いろいろな意味で象徴的なのは、97年の山一証券の廃業。次のような影響を与えました。
1,会社が永久に続くという幻想の消滅→「ジャイアンツは永遠」と言えなくなりました。また、「会社のために」という強制力も言い訳も弱くなりました。
2,会社への忠誠(カンパニーロイヤリティ)ではなく市場への忠誠(マーケットロイヤリティ)が必要(自分の市場価値が大事)なことが分かりました。→満期退職で悠々自適の老後という幻想も消えました。
3,会社のリストラに大義名分を与えました→「痛みを伴う構造改革」等と称して、大手を振って解雇できるようになりました。リストラを発表すると株価が上がるくらいでした。


97年の「春闘崩壊」は、まさに会社と労働者に関係が崩壊したことの象徴でした。会社離れ=組合離れは加速し、会社は社員との信頼関係の源である賃金制度、退職金制度に手をつけはじめます。

会社は囲い込んだ全社員の面倒を見ることを放棄し、社員の選別と淘汰(リストラ)が始まります。補充が必要であれば派遣社員に変わりました。残る正社員には成果主義を導入して「できる個人」だけを相手にしようとし始めました。
こうして、会社は手のひらを変えて労働者を叩きはじめたのです。




黄金の60年代以降、会社の言うことに忠実に従っていたまじめな労働者にとって、えげつないリストラの加速は「裏切り」でした。それを象徴するかのような事件が、元社員が社長室で割腹自殺するという「ブリジストン事件」(99)でした。
遺書には次のように書かれていました。

『入社以来30有余年、ブリジストンと運命共同体として寝食を忘れ、家庭を顧みる間もなく働き、会社を支えて来た従業員の結晶が今日のブリジストンを築き上げたのである』
『嫌なら辞めろという会社のやり方は、永年ブリジストンを支えて来た人達に対する仕打ちとして許されるものではない』
『私はブリジストンをこよなく愛し、これからも愛し続ける』…


しかし、失業率が毎年前年度を更新していくこの時代、会社は強気で社員を責め続けました。追い風は、99年の労働者派遣法改正で「派遣労働」が原則自由化されたこと。さらに小泉政権では04年に製造業も対象に加え一般事務の派遣期間を1年から3年に延ばしました。要は派遣社員を会社が使いやすくしたわけです。

かくして失業率更新時代に「5年間で530万人の雇用創出」を唱えた小泉内閣は、5年間で300万人の非正社員を増やし、3人に1人が非正社員となる時代を迎えます。




ここに当時の私が注目した記事があります。
それは、在日米国商工会議所会頭グレン・フクシマが解雇を制限している日本の制度の撤廃を要求していることが書かれていたインタビュー記事です(99.6.30)

戦後、赤化防止のために法的に終身雇用の形態を保証したのはGHQでした。つまり、解雇を原則禁止したアメリカが、いまや自ら設置したその法制度の撤廃を要求しているのです。
これは、日本が歴史的転回点に来ていることを証明する事例だと思い、私はこの記事を記しておきました。

このような米国の変節と後押しの下、米国どっぷりの小泉政権下で、日本的雇用は瓦解し、形だけのアングロサクソン流成果主義が蔓延していくのです。
米国に対して何の効果的な防波堤の役割を果たさなくなった政府の下、日本企業はいいようにグローバルスタンダードという名の米国の波に洗われたのでした。


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