パワハラからの離脱法
社会に出るのが怖くなったという学生さんもいたくらいで、確かにパワーハラスメントの強烈度は最右翼に近いだろう。しかし、いるのである。「事実は小説よりも奇なり」と言っておこう。
そして、『全身の神経がピリピリ』するという身体のストレス反応が出てきたし、ダブルバインドに遭い続けると感じる「妙な操られ感」まで感じるようになった。自分の気持ちを抑圧し、相手の意のままに動かなければならないため、気持ちと行動が乖離してきたのである。
元々人を操り人形にするダブルバインドは、人類学者ベイトソンが、統合失調症患者の家族を調査していて発見したコミュニケーションパターンだ。私は、大袈裟に言えば、統合失調症の前駆症状が出ていたと言ってもいいかもしれない。
私は、「私がパワハラに耐えられた3つの理由」の方法を持ってしても、もうこれ以上自分が耐えられないことを知った。
「三十六計、逃げるにしかず」と言う。
逃げるのは、極めて重要な「戦略」の一つだ。
特に、ストレッサー(ストレス源)から離れることはストレスを無くす鉄則である。
しかし、会社の上下関係という縛りがある。
この上下関係がダブルバインドの発動原因(第三次禁止令)でもある。
つまり、この上下関係を解消しない限り、私がマリオネット(操り人形)から人間に戻る道はない。
私は、強大なパワ管、岩山から「逃げるために闘う」ことを決めた。
岩山との関係を絶つために左遷されてもよい。
最悪の場合、退職になってもよい。
自分が人間やめるよりましだ-そう、覚悟した。
キャリアなど、どうでも良かった。
もちろん家族もいた。
しかし、この男との関係を絶つことさえできれば、食うことは何とでもなる-そのくらいの男だった。
だから、腹をくくった。
「肉を切らせて骨を断つ」
-自分の身がどう切られようが大したことではない。
この男との間柄(骨)を断つ(=切り離す)ことができればそれでよい。そう覚悟を決めたから、私は会社と渡り合うことができた。
覚悟を決めて以降、私の相手は岩山ではなく会社になった。
会社と私は対等に向き合ってタイマンを張ったのだ。
こちらだって路頭に迷うかもしれない家族を背負っている。単なる負け戦はできない。
「覚悟を決める」とは、そういうことである。
具体的には拙著『あきらめの壁をぶち破った人々』(日本経済新聞社)の中にリアルに書いている。
会社で苦しまれている多くの方の救いになると思う。
是非、お読み下さい(^^)。