パワハラ退職者の極めて深刻なダメージ
はい、まだ続いていました紙上解説パワハラシリーズ。
再現ドラマでは、退職に追い込まれたAさんのその後は描かれていません。しかし、このような形でやめた場合に人はどのようになってしまうのか、それを知ることが、「パワハラは犯罪である」ことが本当に理解できることにつながると思いますので、是非、追体験してみてください。
だんだん様子がおかしくなっていきます。
お酒をいくら飲んでも酔えなくなり、全く眠れなくなります。
集中できず、当たり前のことが当たり前にできません。
家族が気づいたときには、顔の表情がなくなっています。
会社を辞めても、嫌な上司から離れられたから回復に向かう、というわけにはいきません。
辞めさせられたわけです。
それまでの生活基盤を奪われるわけです。
朝起きて仕事に行く-その日々のリズムの根底にあるものが不意に失われるのです。
これまで築き上げてきたもの、仲間、喜怒哀楽-それら全てのものが自分の手から消え去るのです。
いきなり生木を裂かれたようなショックに、茫然自失のまま、数ヶ月から場合によっては1年間も寝たきりになってしまいます。
這うようにトイレに行く以外は、身動きもできない状態-
いきなり竜巻に巻き込まれ、地面にたたきつけられ、身じろぎできない状態-そういう感じです。
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そして、ようやく心の体力が回復すると、今度は抑えていた感情があふれ始めます。
理不尽さへの怒り、
相手への恨み辛み復讐心、
会社を辞めた後悔、
生きる基盤を失った不安、
将来が見えない絶望、
何故自分がこんな目に遭うのかという嘆き、
どうしても納得できない憤り、
怨嗟、
怨念…
負の感情がそれこそ津波のように襲ってきます。
せっかく回復しつつあると思ったら、負の感情が自分を襲い始めて、本人がたたきのめされます。
なぜ、こうなってしまうのか。
上に上げた感情は強いエネルギーを持っていますから、本人の心身体力が回復しないと感情に対処できないのです。そのため、強いショックを受けた後は、人体の巧妙なメカニズムで感情は封印されるのです。
そして、何とか日常生活を送れるくらいに回復してくると、それまで封印していた感情があふれ出てくるわけです。
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目が覚めると憂鬱な気分でいる自分に出逢い、
「何故自分が…」という思いが頭をもたげ、
上記に書いたような様々な思いに襲われ、
最後に自分を落とし込んだ相手に漂着し、
怒りや恨み、憎しみの感情に振り回され、
振り回された挙げ句クタクタになって一日が終わります。
そして、翌日目が覚めると、また憂鬱な気分でいる自分に出逢い……。毎日毎日がこの繰り返しで、そのこと自体にも憂鬱がつのります。そして今度は、自分は本当に治るんだろうかという不安が湧いてきます。
憂鬱な気分
→何故自分がという嘆き
→相手への怒りや恨み
→その繰り返しの日々に嫌気
→本当に治るのかという不安
-このスパイラルが終わりなく続き、日々、ますます不安がつのっていくという状況に陥ります。
(病名をつけるとすれば「抑うつ神経症」でしょうか)
本人はつらいので、愚痴を言わずにはいられません。
しかし、ご家族に理解がない場合、毎日毎日繰り返し聞かされるマイナスの言葉にご家族の方もイライラが溜まってきます。
場合によっては家庭内別居、そして離婚など、家庭崩壊に向かっていくこともあります。
つまり、「人生めちゃくちゃ」にされるわけです。
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いかがでしょうか。
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