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奈良市職員の長期欠勤問題~人間のロボット化

2006/10/24(Tue) Category : 社会事件簿
奈良市職員の仮病問題。

背景にはいろいろとありそうだが、それは置く。ここでは「人」と「ルール」と「モラル」の関係ついて感じたこと。


この職員は、市役所の制度に則って90日ごとに診断書を提出し「病欠」を繰り返し、給与は支払われていた。
ルールに則った手続きさえ取っていれば、手続き通りに事が運ぶということ。そこにモラルは介在していない。診断書を出し続けた医師しかり、受け取った人事課しかり、その全てを容認した市長しかり。これだけ直接関係者が存在していて、そこにモラルの気配がない。

つまり、手続き通りに業務を遂行する「機能」はあるが、「人」がいない。そこにいるのは、業務遂行ロボット。「人」になるにはモラルが必要なのだ。


「ゴミ収集処理という勤務状況を考えれば(病気休暇)の発生率が高くなるのではと思う」(同市人事課)

「?」…もし、もしもだが、激務とでも言いたいのであれば、それによって病欠が増えると言いたいのであれば、その状況を放置している人事課の責任問題では? あなたの発言は、自分の首を絞めているよ。


「このような病気休暇の制度があったことが問題だった。今後、規則を速やかに改正しなくてはいけないと思っている」(藤原昭市長)

「?」…この制度は、必要があってその際に吟味されてできた制度では? それを作ったことが問題だったと簡単に言ってしまっていいの? その時に作った人たちは泣いてしまうよ。

だから…
違うだろう。
その制度の精神に則った運用がされていないことが問題なのだろう。その制度がなくなると困る人も出てくるのじゃないの? 
改正するのではなく、「趣旨に則り、きちんと規則を運用します」ということではないの?




怖いのだ。
ルールが悪かったから、ルールを変える-自分の責任を棚上げにし、無意識のうちに徹頭徹尾ルールのせいにしてしまっている。
これは、完全にロボット化してしまった人間の言葉だ。ロボット化した人間は、その言動によって周囲のロボット化を推し進めていく。
その言葉がまかり通ることによって、ロボット社会が浸透していく。

ここまでルールに従属してしまうと、ルールになければ目の前の人を救うこともできなくなる。「人間がシステムに敗北している」 で書いたことは、そういう状況だ。



人がルールに支配されている。
人を人たらしめる「モラル」よりも上に「ルール」が来ている。
社会を社会たらしめる「安全」よりも上に「利益」が来ているように。


繰り返し思う。
「人間がシステムに敗北している」




こういう社会ではびこるのは、心を無くした役割ロボット。
心を無くすことができない「人」たちは、心を病んでいく。

この状況は、小さな職場の隅々にまで及んでいる。
かつて言われたことがある。

「何が正しくて、何が間違っているのかわからなくなった。足場を失い、どんどん奈落へと落ちていった。地面に激突しそうになったとき、中尾さんに救われた」

私が、ある職場に赴任してまもなく言われた言葉だ。


今、
自分がおかしいのではないかと思っている方。
自分の方が間違っているのではないかと自信を失っている方。

恐らく、あなたは間違っていない。
「人」であるから、不安になり、自信を無くし、悩んでいるのだ。


辛いかも知れないが、その不安を感じることのできる、悩むことのできる「感性」を失ってはいけない。
http://nakaosodansitu.blog21.fc2.com/blog-entry-157.html


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判るような気がします。

 私自身、ロボットだらけの中で過ごして感化されてロボットと化して今脱却しようとしてる最中なので何か判るものがあるなぁ...と思いながら読ませて頂きました。

 責任を認めたくない、というのは責任を受け止めるだけの余裕が無い(悪く言えば脆弱)という事で、当時の人事課も職員さんもみんなすり減ってる感じが伝わってきます。
なにかをやらかした時、その責任を受け止めるだけの余裕がある人間は逃げませんから(笑)

 この記事を見させていただいて、なんとなく機動戦士ガンダムUCでの登場人物のやりとりを思い出しました。

「自然に慈悲なんてものはない。昔の人間は、そいつを知っていた。ほかならぬ、自然の産物の本能としてな」
「…だから、生きるために文明を作り、社会を作って身を守った……」
「ああ。だがそいつが複雑になりすぎて、いつの間にか人は、そのシステムを維持するために生きなきゃならなくなった」

 正しく、「敗北」の構図なのかもしれません。自然の無慈悲さから身を守ろうとするあまり、今度は人間のほうが自然よりも無慈悲になっていくというのは何か怖いです。

 
    
 
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