23歳の新任女性教師の自殺
夢が近づいてくることを実感しながら、のびのびイキイキと学生生活を送っていました。
先生になることが決まったときの笑顔ったら、そりゃもう輝いていましたよ。
その意欲に満ちた笑顔を見て、親としても心から嬉しく思いましたねぇ…。
よく頑張ったな。地道な努力が実って先生になれてよかったなって。
親バカですが、いい先生になるだろうなと思いましたよ。何より情熱がありましたから。
ところが…
毎晩帰りが遅いんです。夜中ですよ。
え?学校ってそんなにやることが何かあるの? って、驚きましたね。
しかも、食事もそこそこに「持ち帰り仕事」をしているんですよ。
深夜に及ぶこともありましたのでね、体が心配でした。
それで、土日くらいはゆっくりできるのかと思っていたら、土日も行くんです。
学校の仕事がわかれば親としても察しがつくんですが、何しろ学校はブラックボックスですから口を挟むことができません。
今は新任で懸命にやっているときだから、と、見守るしかありませんでした…。
休まないので、今が何曜日か親の方も勘違いしてしまうんです。
なんだか、あれよあれよという間に日が過ぎていったような気がします。
見守っていたはずが、気づいたときには様子がおかしいので病院に連れて行くと、鬱でした。
もうクタクタになっていたんですね。
それでも、娘は学校に行けない自分を責めるんですよ。「無責任だ」って。
校長からもアドバイスされて期待にも応えたかっただろうし、親御さんからもいろいろと言われて悔しさもあったんでしょう。
それに何より、担任でありながら、クラスに出ることができないことを「無責任だ」と感じたんでしょうね。誠実な子でしたからね…。
しかし、鬱は「休め」というサインなんだから、と疲れたときは休めばいいんだと言ったんですが…
(以上は、フィクションである)
「無責任な私をお許しください。全て私の無能さが原因です。家族のみんなごめんなさい」
そう遺書を残して、23歳の新任女性教師が自殺した。
『弁護士によると、今年4月から女性教諭は小学2年(児童22人)のクラスを担任。担任業務のほか、学習指導部など複数の職務を担当。区の新任向けの研修をこなし、授業の準備やリポート提出に追われていた。土日出勤も常態化し、時間外労働が1カ月130時間を超えていたと推定されるという』
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061025k0000m040084000c.html
<続く>
23歳の新任女性教師の自殺~マネジメントの不在へ