DV事例解説(7):夫の暴力がエスカレートしていった理由
では、習慣化するだけではなく、なぜだんだん激しくなっていったのでしょう。
これは、気持ちというものの本質を理解するとわかってきます。
以前、「気持ちを大事にする仕方」の中で、『一つ一つの気持ちが、それぞれ“自分”』だと書きました。だから、『気持ちを受け止めてくれる相手がいて、ようやく気持ちは心のコップから出て行きます』と書きました。
夫が初めてキレた日、実は妻と娘は必死に受け止めたのです。
そういう受け止め手がいたから、夫はスッキリしたのでした。
しかし習慣化してくると、夫が帰ってくると家族は逃げるようになりましたよね。つまり、気持ちの受け止め手がいない。ですから、発散したい気持ちは募るものの、受け止め手がいないから発散できない。
前回書きましたように、夫はこのストレス発散法にしがみついていますから、なんとしても受け止めさせようとします。こうして、ますます暴力が加速していったわけです。
しかし、追えば逃げる、逃げれば追う―これは動物の本能。
夫は締め出されたドアの前で怒鳴ります(まるで、「シャイニング」を思わせる場面でしたが…--;)。
「逃げるだぁ?誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ! あけろ、ぶっ殺すぞ!」
この言葉を直訳すると次のようになります。
「俺が飯を食わせてやってんだから、その恩返しとして、逃げないで俺の気持ちを受け止めてくれー!」
もう少し詳訳すると次のようになります。
「俺は、毎日会社のストレスでいろんな気持ちをため込み、つらい思いをしながら家族のために働いているんだ。だから、そこを開けて、俺の気持ちを受け止めてくれよ。でなきゃ、俺が死んでしまうよ」
-そう、悲鳴を上げているんですね。
夫は、この翻訳したとおりの言葉で素直に家族にお願いすればよかったのです。
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