急増!ハラスメント用語
ついでに、ちょっと整理しておこう。
・バイオレンス=暴力
・ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力 (←直訳)
しかし、日本では
・「子どもから親への暴力=家庭内暴力」 としていたために
・「DV(ドメスティックバイオレンス)は、夫婦間の暴力」 と区分して用いられている(ややこしい)。
そこへ、恋人間の暴力もクローズアップされてきたために次のような区分ができた。
・夫婦間における暴力=DV
・恋人間における暴力=デートDV
尚、「暴力」というと、肉体的のみならず精神的な暴力もさすのだが、日本ではもっぱら肉体的な暴力をイメージすることが多い。
そこで、次のような言葉がイルゴイエンヌの『モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない』という著作と共に普及した。
・夫婦間における精神的な暴力=モラル・ハラスメント (精神的な・嫌がらせ←直訳)
ハラスメントは、「嫌がらせ」と訳されているが、「精神的暴力」と言う方がふさわしい。このハラスメントの派生が次の語群だ。
・セクシャルハラスメント (セクハラ) =異性間の精神的暴力
・パワーハラスメント (パワハラ) =権力構造間(上司部下)の精神的暴力
・ドクターハラスメント (ドクハラ) =医者による精神的暴力
・アカデミックハラスメント (アカハラ)=大学教授による精神的暴力
…まだまだ出てきている(--;)。
言葉は現象を切り取ってくれる。
名前がつくことにより、その現象を認識しやすくなる。
あぁ、自分がしていたのは、あるいはされていたのはこれだったんだ、と気づきやすくなる。
そして、その現象が多様で多岐に渡れば渡るほど、それに関する語群は多くなる。
たとえば、天気用語もその国の気候によって充実している語群が異なるようだ。雨や霧に関する用語が多い国もあれば、風に関する用語が多い国、雪に関する用語が多い国もあろう。
また、温暖化によって、日本でも35度以上は「猛暑日」というのが新設される。
つまり…
今の日本は、バイオレンス(肉体的暴力)やハラスメント(精神的暴力)の現象が多様で多岐に渡っていると言うことだ。簡単に言えば、あらゆる層、あらゆる職種に“暴力が蔓延している”ということである。
暴力の本質は、ディスカウント。つまり、人を人扱いしないと言うこと。硬く言えば「人権無視」-人としての尊厳が侵害されていると言うことだ。
いつから、人権無視の言葉が蔓延する、こんな恐ろしい国になった…?
人が軽くなった。
人が使い捨てにされている…
どこぞの球団を見ても、企業における派遣やワンコールワーカーの増加を見ても…あちらをみても、こちらをみても……何しろ、一国の総理すらが「使い捨て」の国なのだ…。そういうことを平気で言う人間が総理としてもてはやされた国だ。
教育にはストーリーが必要だ。それぞれの教育が有機的に連携して、人を育てていく。
私はかつて、新人から管理職に至る企業内教育の体系を創り上げた。しかし、今やそれは崩壊している。教育が崩壊して10年もすればおかしくなってくる。
企業は人を育てなくなった。そして、今、企業は株主のものになろうとしている。社員はますます単なる「駒」となり、企業は刹那的になるだろう…。
「自由競争」という言葉と「使い捨て」という言葉は表裏一体だ。
バイオレンスやハラスメントをここまではびこらせ、アメリカナイズはとどまるところを知らない(肝心の本家は変わろうとしているのに…)
日本はまだ「欧米か!」。