HIVエイズと共に生きる
2005/12/06(Tue) Category : 知ってほしい病
「女性センター祭り」に参加している知人から、手記の朗読をお願いできないかとメールが来た。
テーマは「HIVエイズと共に生きる」
私に読んで欲しいエイズ体験者の手記はもう決めてあるという。
私は次の点からお受けすることにした。
1.別の知人のお子さんが血友病であること→薬害エイズが騒がれた丁度その頃血友病が発覚し、随分と心配した。そこからエイズにも興味を持った。
2.私も「語り部」をやっていきたいと思っており、いい体験になると思った。
3.最近、私にとって“個性”の意味が急拡大している。エイズも一つの“個性”-そういう思いがどこかにあり、体験者が実際にどう感じているのか知りたかった。
プログラムは、ビデオ上映、手記の朗読、そして「ぷれいす東京」生島 嗣さんとHIVカウンセラー石川雅子さんのトーク。
ぷれいす東京は、いわばHIV感染者のポータル。
生島さんは、そこの選任相談員。日本におけるHIV第一人者。海外から戻ったその足で会場に駆けつけ、翌日は、また海外という。
石川さんは、行政からHIV認定者の報告を受けると、その方の下へカウンセリングに飛ぶ。
ビデオは、生島さんがPERSONZにインタビューしたもの。
PERSONZボーカルJILL。彼女の生き様もすごかった。
これからというときに元彼に刺され、業界は殆ど彼女を見放した。が、バンドメンバーは離れずにいてくれた。
そして、『たった一人』彼女を支えてくれた人がいた。
松田優作。
『JILLは、これからすごいことになるから大丈夫だよ』
その一人だけの言葉を信じて彼女は生きた。
一人で支えきれないものがあるとき、人の言葉が身にしみる。
乗り越えるための言葉。そこから紡ぎだされた歌―
「DEAR FRIENDS / Ai」
シンプルでいい歌詞だ。
【PERSONZ 「DEAR FRIENDS」】
『生きがいは、困難なところから見つけ出さなければならない』
乗り越えてきた彼女の言葉が胸に響く。
私は、2編読んだ。
一つは、まさしく「エイズにかかってかわいそー」って目で俺を見るな、という若者。そういう目で見られることが、「あぁー俺ってかわいそうなんだ」という気持ちを作らせてしまう。それが、怖い。確かに保菌者だけど、他は変わらないよね。命に関わる部分はあるが、人間皆菌を持っている。
一つは、「親父が抱きしめてくれた」という若者。彼はエイズにむしろ感謝している。欲しかった親からの愛情をもらうことができた。
オーバーラップする。
私が、あの青年を抱きしめて号泣したこと。中3にもなる息子をおんぶしたこと。
子どもは、皆親の無条件の愛情を心から欲している。そう、エイズにかかったことが帳消しになるくらいに―。
-----------------------------------------
そして、オーバーラップする。
親にようやく素直になれた成人した子どもからいただいた言葉。
『それだけのことなのに、それだけがほしかった。』
子どもにようやく素直になれた親からいただいた言葉。
『 気持ちを理解できなかったのは、私の方でした。淋しく悲しかったろうに…私が悪かった。』
お二人とも、私に思いのたけを語り、気持ちを吐き出され、それから…自ら気づかれていった。
気持ちを吐き出せば、見えなかったものが見えてくる。
怒りや悔しさ、哀しみや寂しさで曇っていた目が澄んでくる。
そして、自分の愛の形に気づき、素直にそれを表現するのだ。
私は、「親子のキューピッド」をする。
-----------------------------------------
ゲストのお二人が感じられている大きな問題点。
1つは、家族への告知の問題。一番知ってほしい。が、一番知られたくない。よくわかるこのアンビバレンツな気持ち。
「少年A」の話をした。なぜ、彼は両親に会いたがらなかったのか。親には自分のことをわかって欲しい、受け止めて欲しい。が、受け止めてくれないであろうことへの怖れ。絶望したくない。可能性は可能性として取っておきたい。だから、会いたくなかった…。同じ。
1つは、世間への告知の問題。ガンなどと異なり、黙っていればわからない。が、一人で抱え込み秘密を持ち続けるストレスは心を病ませる。
つまり、彼らが考える最大の問題は、エイズ患者がそれをオープンにできない雰囲気をもつ社会の問題。なぜ、日本がそういう社会になってしまったのか。私も大いに語った。
身内の恥を外へさらすな、という意識があって抱え込んでしまう家族の問題も同じ。
しかし、介入することによって、あれほど人は変わり、そして救われるのだ。
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そして、彼らも言った。
「知識」と「想像力」が必要。
全く同感。
心理教育的アプローチとイメージを喚起できる語りが必要。人の気持ちや立場を思いやることができ、智恵を身につけ、人は深くなる。
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終了後、見に来られた方々と話す。
自分と第一子、第二子のこと、自分と親とのことなど話された。
私よりも年は上だが、素直になられていたようだ。
“生身”の人間と触れ合うのは楽しく豊かだ。
テーマは「HIVエイズと共に生きる」
私に読んで欲しいエイズ体験者の手記はもう決めてあるという。
私は次の点からお受けすることにした。
1.別の知人のお子さんが血友病であること→薬害エイズが騒がれた丁度その頃血友病が発覚し、随分と心配した。そこからエイズにも興味を持った。
2.私も「語り部」をやっていきたいと思っており、いい体験になると思った。
3.最近、私にとって“個性”の意味が急拡大している。エイズも一つの“個性”-そういう思いがどこかにあり、体験者が実際にどう感じているのか知りたかった。
プログラムは、ビデオ上映、手記の朗読、そして「ぷれいす東京」生島 嗣さんとHIVカウンセラー石川雅子さんのトーク。
ぷれいす東京は、いわばHIV感染者のポータル。
生島さんは、そこの選任相談員。日本におけるHIV第一人者。海外から戻ったその足で会場に駆けつけ、翌日は、また海外という。
石川さんは、行政からHIV認定者の報告を受けると、その方の下へカウンセリングに飛ぶ。
ビデオは、生島さんがPERSONZにインタビューしたもの。
PERSONZボーカルJILL。彼女の生き様もすごかった。
これからというときに元彼に刺され、業界は殆ど彼女を見放した。が、バンドメンバーは離れずにいてくれた。
そして、『たった一人』彼女を支えてくれた人がいた。
松田優作。
『JILLは、これからすごいことになるから大丈夫だよ』
その一人だけの言葉を信じて彼女は生きた。
一人で支えきれないものがあるとき、人の言葉が身にしみる。
乗り越えるための言葉。そこから紡ぎだされた歌―
「DEAR FRIENDS / Ai」
シンプルでいい歌詞だ。
【PERSONZ 「DEAR FRIENDS」】
『生きがいは、困難なところから見つけ出さなければならない』
乗り越えてきた彼女の言葉が胸に響く。
私は、2編読んだ。
一つは、まさしく「エイズにかかってかわいそー」って目で俺を見るな、という若者。そういう目で見られることが、「あぁー俺ってかわいそうなんだ」という気持ちを作らせてしまう。それが、怖い。確かに保菌者だけど、他は変わらないよね。命に関わる部分はあるが、人間皆菌を持っている。
一つは、「親父が抱きしめてくれた」という若者。彼はエイズにむしろ感謝している。欲しかった親からの愛情をもらうことができた。
オーバーラップする。
私が、あの青年を抱きしめて号泣したこと。中3にもなる息子をおんぶしたこと。
子どもは、皆親の無条件の愛情を心から欲している。そう、エイズにかかったことが帳消しになるくらいに―。
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そして、オーバーラップする。
親にようやく素直になれた成人した子どもからいただいた言葉。
『それだけのことなのに、それだけがほしかった。』
子どもにようやく素直になれた親からいただいた言葉。
『 気持ちを理解できなかったのは、私の方でした。淋しく悲しかったろうに…私が悪かった。』
お二人とも、私に思いのたけを語り、気持ちを吐き出され、それから…自ら気づかれていった。
気持ちを吐き出せば、見えなかったものが見えてくる。
怒りや悔しさ、哀しみや寂しさで曇っていた目が澄んでくる。
そして、自分の愛の形に気づき、素直にそれを表現するのだ。
私は、「親子のキューピッド」をする。
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ゲストのお二人が感じられている大きな問題点。
1つは、家族への告知の問題。一番知ってほしい。が、一番知られたくない。よくわかるこのアンビバレンツな気持ち。
「少年A」の話をした。なぜ、彼は両親に会いたがらなかったのか。親には自分のことをわかって欲しい、受け止めて欲しい。が、受け止めてくれないであろうことへの怖れ。絶望したくない。可能性は可能性として取っておきたい。だから、会いたくなかった…。同じ。
1つは、世間への告知の問題。ガンなどと異なり、黙っていればわからない。が、一人で抱え込み秘密を持ち続けるストレスは心を病ませる。
つまり、彼らが考える最大の問題は、エイズ患者がそれをオープンにできない雰囲気をもつ社会の問題。なぜ、日本がそういう社会になってしまったのか。私も大いに語った。
身内の恥を外へさらすな、という意識があって抱え込んでしまう家族の問題も同じ。
しかし、介入することによって、あれほど人は変わり、そして救われるのだ。
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そして、彼らも言った。
「知識」と「想像力」が必要。
全く同感。
心理教育的アプローチとイメージを喚起できる語りが必要。人の気持ちや立場を思いやることができ、智恵を身につけ、人は深くなる。
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終了後、見に来られた方々と話す。
自分と第一子、第二子のこと、自分と親とのことなど話された。
私よりも年は上だが、素直になられていたようだ。
“生身”の人間と触れ合うのは楽しく豊かだ。