押しつけのパラドックス(4)-作られた自分の「9るしい」性格に気づこう
結局、「明るく素直で活発な子」を望んでいた親が日常的に子供にかける言葉は、「暗くひねくれてぼーっとした子」という言葉だ。
驚くべきパラドックス。親は自分の望みとは逆の言葉を子供に言い聞かせ続けるのである。子供はどうなるだろうか。
■1,ますますぼーっとする-----------------------
自分が「暗くひねくれてぼーっとした子」と思いこむ(刷り込み(インプリンティング)効果)
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現実が嫌なので空想の世界に逃げ込む(空想癖:外からはますますぼーっとしているように見える)
■2,人付き合いが苦手になる--------------------
親はますます小言を言い、現実は自分を救ってはくれずどうでもよくなっていくため、たとえば人の名前や顔を覚えるのが苦手になる(現実に疎くなる)
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人間関係が面倒、苦手、人付き合いが嫌になる。さらに自分の世界に閉じこもる(自閉的になる)
■3,自信がない-------------------------------
朝から晩までことある毎に親から注意を受ける(お前はダメだというメッセージを受け続ける)
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何をするにも、自信を持って出来なくなる。自分に自信がない。ハッキリと自分の意見を言えない。意志を貫くことが出来ない。自分の思いを通すことが出来ない。優柔不断。付和雷同。引っ込み思案になる。
■4,自ら行動できない--------------------------
やることなすこと注意を受けると言うことは、「自分の判断で行動するな(すれば罰する)」という「禁止令」を受けることになる。
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やるまえから、注意されることを考えて出来なくなる。失敗を恐れる。心理学的には、禁止令を受けるので当然自主的な行動というのは出来なくなる。
■5,イライラする-------------------------------
朝から晩までことある毎に親から見下げられている(ディスカウント)
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あるがままの自分を認めてもらえない不満が心のコップに鬱積し、心の余裕が無くなりイライラしてくる。
■6,独り言が多くなる---------------------------
イライラを吐き出すためと、自分を認める人間がほしいため、独り言を言うようになる(多くはトイレで)。
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それが人を遠ざけ、あるいはそれを指摘されてますます人が苦手になる。
■7,キレやすくなる-----------------------------
親から日常的にダメだというメッセージを受け、ディスカウントを受け、自分がズタズタに傷ついているため、これ以上ほんの少しでも自分が傷つきたくないと思う。
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心のコップが既に一杯一杯の状態だから、外から入ってくる余裕など無い。まして、それが指摘や忠告、アドバイスであっても、自分の弱点をつつくものであればカッと「逆ギレ」する。外からは「癇癪持ち」「ヒステリー」と見られる。
■8,謝ることが出来ない--------------------------
自分を保つことの出来る最低ラインで日々生きている。そのため、自分がこれ以上傷つくことを極端に恐れるようになる。これ以上傷つくとどうなってしまうか分からないからだ。
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人からは高慢に見えるが、実は傷つくのが怖くて謝ることが出来ない。
■9,プライドが高い-------------------------------
プライドが高く見えるのも、傷つくのが怖いのと自分で自分を支えるしか自分を守る術がないからだ。プライドを手放したときに、自分が崩壊しそうな危機を感じているからである。
人から認められたいという承認欲求を持っているので、「仲間はずれ」に傷つく一方で、自分を守るために、ますます非社交的になっていく。
そう、親が「暗くひねくれてぼーっとした子」という言葉を子供に言い聞かせ続ければ、「子供は親の言うとおりに育つ」のである。
しかし、子供よ、自分に絶望しなくていい。
ここに見たように、自分の9つの「9るしい」性格は、自分本来の性格ではないことにお気づきだろう。
それはあなた自身ではない。
このような環境下にあれば誰しもがそうなる当然の心理メカニズムなのだ。
作用に対する反作用なのである。
つまりは、この環境条件が変わり親からの作用が無くなれば、反作用としてのこれらの“性格”は不用となるものなのだ。だから、これらの疑似性格が巻き起こしたことについて自分をことさらに責める必要はどこにもない。卑下する必要もない。
だから、自分に貼ってしまったレッテルを引っぺがしてしまおう!
そして、本当の自分を探しに行こう!!
本当の自分は、あなたに発見されるのを心から待っている♪
<続く>