就学前子育て意識調査 【こども未来財団】
社団法人家庭教育研究協会の「元気なお父さんづくり応援活動」の事業報告で私の発言を読み、『ひきつけられるように読ませていただきました』とのこと。ありがたい話である。
これまで「少子化対策」や「子育て支援」は、厚労省の「お母さんと子どものための」福祉や子育て支援であり、内閣府の「男女共同参画」による「家事育児分担」ということばかりが論じられてきた。今また文科省、地方自治体やNPOが「父親の育児参画支援」に取り組みはじめているが、いずれも母→子、父→子、親→子という視点しかないのが不満だった。
最も大切なのは、夫が妻にどのように接していけばより子育てに喜びを見出せるのか、という夫婦間のインターパーソナルな視点ではないか?―それが、同財団の問題意識であった。
おりしも、昨年暮れに40代までの就学前児童をもつ母親2400人、父親800人を対象に子育てに関する意識調査を行った結果、「夫婦でいっしょに子育てをしていると感じられるために、どうしたらよいか」という質問に対する答えで、妻と夫との間の意識の違いが浮き彫りになった。
夫は「自分も妻と同じように子育ての時間をもつこと」が最も多かった。
妻は「ねぎらいの言葉や態度、悩んだときの相談になること、子育てについての話し合い、子育てに対する責任感」が最も多い答えだった。
(この結果は、6月14日NHK「おはよう日本」首都圏ニュースで放送されたそうだ)
実感として両方分かるよね。
普段仕事に追われて家族に接する時間がないと感じている夫は、「時間」にフォーカスするだろう。
夫の意識は子に向いている。しかし、
妻は自分に意識を向けてほしいのである。
もう一つ。
夫は、Doing を考えている。
妻は、Being を求めている。
それから、
夫は、妻子の「気持ち」の前に自分の思いがある。
妻は、子の「気持ち」を無視した関わりは敬遠したいだろう。それが、『子育てに対する責任感』という言葉に表れている。
つまり…
個々の夫から政府に至るまで、相手の「気持ち」にフォーカスしたとらえ方がスッポリと抜け落ちているのだ。かつて「思いやりの国」だった日本が、物質と効率を追求して到達した対極の地点である。
こども未来財団の不満は、まさにこの点にあった。
そのため、私の発言やサイトを見て『膝を打った』。
そして、『「妻の話を聞いて相互理解することから」という視点に感銘を受けました』とのこと。私もとても嬉しい。
家族の問題を扱うのだから、家族心理の観点で見ればよい。
先ず夫よ、気持ちはよく分かるが、子が第一に望むのは、父親が自分に構ってくれることではない。
子が望むのは、母親が活き活きと元気でいることだ。
ならば、先ずなすべきことは妻を支えることだ。
そして、「夫婦連合」を形成することだ。
夫婦連合がなく、世代間境界がぐちゃぐちゃになるから問題が起きる。
(夫婦共依存同盟になると別の問題が起きるけれど…国と国の関係も同じ。同盟ではなく連合がよい(余談失礼!))
このように、問題が起きる家族心理のメカニズムをたった一つ知っているだけでも、解決に向かう方向は明確になる。
そういう意味で、家族心理のメカニズムを全国津々浦々講義して歩きたいくらいだ。そうして一人一人が学び直し、自分の頭で考えて行動していかなければならない。
なぜなら、この項でも分かるとおり、日本全国「気持ち」の扱い方をスッポリと忘れ去っているからだ。だから“今の”国には期待できない。
それに、私が行ってきた改革は、常に下からである。
ともあれ、貴重な調査報告書をいただいた。
またご紹介したいと思う。