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JR福知山線脱線事故-最終報告とご遺族の思い

2007/07/09(Mon) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■事故調最終報告書-----------------------------------

『107人が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故(兵庫県尼崎市)で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日、調査の「最終報告書」を公表した』
『高見隆二郎運転士(死亡)がカーブに速度超過で進入した異常運転を行った背景には「運転士に懲罰的な日勤教育や懲戒処分を課すJR西日本の厳しい管理体制があった」として、企業体質を厳しく批判した』
『事故調が、事故原因について、企業体質の問題に踏み込むのはきわめて異例』
『最終報告を受け、事故原因について事故調に鑑定依頼していた兵庫県警は、JR西の刑事責任追及に向けて捜査を本格化させる』
【6/28読売】



■直接の事故原因については----------------------------

『報告で事故調は、JR西日本が実施していた日勤教育を懲罰的だと批判した。その上で、事故につながる小さなアクシデント「インシデント」を報告した運転士らに日勤教育や懲戒処分をする一方、速度計の誤差やブレーキの仕組みに問題があることを知りながら、漫然と使用し続けたJR西の体質が高見運転士の速度超過につながった、と踏み込んだ判断をした。

 また、JR西が「定時運転は可能だった」と釈明した福知山線のダイヤ編成については、余裕はなかったと結論づけた』
【6/29フジサンケイ ビジネスアイ】


『(オーバーランの)虚偽報告を断られたと思った高見運転士はその後、松下車掌と輸送指令との交信の傍受に気を取られた。さらに日勤教育を恐れてミスの言い訳を考えたり、乗務を外されると不安にかられたりして、運転から注意がそれてしまった可能性が高い。その結果、高見運転士がブレーキをかけるタイミングが16~22秒遅れ、速度超過でカーブに進入し脱線した』
【6/29産経】




■報告を聞いたご遺族は--------------------------------

『長女が犠牲になった藤崎光子さん(67)は、日勤教育をペナルティーと受け取る運転士がいるとした報告書について、「日勤教育が事故の背景にあるのは間違いない。事故後に非難されたが、懲罰的な内容で今も続いているように思う。技術の再教育は必要だが、ペナルティーやいじめでないものにしてほしい」と指摘。そのうえで「もっと経営陣の責任まで踏み込んでほしかった。誰がどういう形で責任を取るのか、この報告書では見えてこない」と述べた』

『妻を亡くした山田冨士雄さん(57)も、「日勤教育やダイヤに関し丁寧な分析をしたことは評価する。しかし原因については日勤教育しか書き込まれておらず、それを生み出したJR西日本の体質に言及していないのは物足りない」と述べた』

『ある遺族男性(59)は「嫁さんが帰ってくるなら何でもするけど、どんなにしても帰ってこない。事故の原因を分析することは、過去に戻る気がしてしんどい。被害者が何を言っても、企業が本気で改善しようとしないと意味がない」と苦しい胸の内を語った』
【6/29毎日】




■経営姿勢は変わるのか--------------------------------

『被害者が何を言っても、企業が本気で改善しようとしないと意味がない』と語るご遺族。
実際どうなのだろうか。

当時、事故から3ヶ月経った頃に朝日新聞が運転士・車掌に行ったアンケート結果がある。
http://www2.asahi.com/special/050425/map04.html

上記を見ると
1,ダイヤに余裕がない 85%
2,全役員による緊急安全ミーティングは、安全意識の向上に効果がない 71%
3,事故の芽の早期発見のために、「報告」を評価から外すとしているが報告例は増えると思わない 71%
4,事故後も職場の雰囲気は変わらない 55%
5,ATSが完備(2010)されるまで、不安はあるか→ない 48% (ある 46%)

この結果は、取りも直さず現場(運転士)が何を問題としているかを語っている。

先ず、10人中9人までが、運行スケジュール(ダイヤ)に無理があると言っている。
2&3は、経営層に対する信頼がないことを示している。安全に対する取り組みは上辺だけであるからマイナスの報告は安全向上のために活かされないだけではなく、自分のマイナス評価に使われるだけだと感じている。
上が本気で変わる姿勢を見せないから、これほどの大惨事であったにもかかわらず現場の雰囲気が変わっていない。
そして、5を見ると、問題の本質は設備の問題ではないと運転士は言っているのである。

つまり、このアンケート結果は、運転士が会社の経営姿勢を問うていることを示している。
事故調も、遺族も、そして運転士(社員)も、安全を無視してまでスピードを求めたJR西の経営姿勢に問題があるといっているのだ。





上記の問題を、
JR福知山線脱線事故-問題に取り組む基本姿勢

に基づき、次の項から分析を始めています。
JR福知山線脱線事故の深層-第1部 事故の構造的要因



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なるほど

『ゆりかもめの脱輪事故も、構造上の問題の可能性もあるが、普段からの点検で防げる事故という説もある。そして、207系が期限切れのブレーキホースを使っていたなど。広報的なインパクトの強い安全対策システムに金をかけているわりに、保守要員の人員削減が原因と思える事が起きている。
IRについで、CSRが広まってきているが。そのような時流の中で、企業の広報は見せかけだけの投資に力を入れ、人を削ることで利益を生み出している傾向があるが、鉄道業界でも儲かっている企業は、このパターンにはまっているのかも知れない』
http://blog.canpan.info/ideaeast/archive/127

安全に対する人的コストを削減していることはありそうですね。




 

今回の事故報告ですが、重大な事が相変わらず書かれていないようです。
207系は製造年度によりブレーキシステムの設計が違い、編成の組み合わせによっては、ブレーキのレスポンスが遅れるということが起こっていたようで。オーバーランが多発していたんです。

脱線事故の寸前に、何回もオーバーランをしている事を考えれば、車両のブレーキシステムを真っ先に疑うべきなのに、新聞で報じられた部分にはブレーキシステムの問題について書かれていない。
むしろ、日勤教育などによって運転士の心が萎縮して操作を誤ったように書かれていて、プレーキシステムについて触れないことで、あたかもブレーキシステムは万全であったと言っているような書き方である。
運転士は亡くなってしまったので証言は得られないことをいいことに、何かを未だに隠しているような気がしてならない。

 
    
 
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