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JR福知山線脱線事故の深層-第2部 信楽高原鉄道事故の教訓 (3)安全を切り捨てた帰結

2007/07/17(Tue) Category : JR福知山線脱線事故の深層
■2,判断を狂わせる運行圧力

さて、危機対応のルールとしては、信号が異常表示をしていた場合、小野谷信号所に職員を派遣して待機列車がないことを確めた後、対抗列車を発車させなければならないことになっていました。

そして、1991年5月3日に信楽駅の上り出発信号が青に変わらないにもかかわらず、上り列車が見切り発車する“事件”が発生します。このとき、『駅長役を務めた運転主任は』中村業務課長(5/14の事故で死亡)に『怒鳴られ、従わざるをえない状況に追い込まれました。それ以上言えなかった』と証言。上からのプレッシャーが、見切り発車をさせてしまったことがわかります。しかし、「誤出発検知装置」が作動し、JRからの下り列車は小野谷信号場で足止めされて事故は回避されました。

これがサインでした。この時徹底して事件の原因を追究していれば、事故は回避されたでしょう。組織というものは、それぞれの役割を責任を持って分担するからこそ機能するわけです。もし安全担当の責任者がいれば、中村課長とバトルをしてでも、出発させなかったこともありえたでしょう。

しかし、全体を把握できるマネージャーは不在、安全担当も不在、そして高原鉄道の運営を実質切り盛りしていた中村業務課長は、旧国鉄で運転の助役であり、運行という自分の使命以外に注意が向かなかったのです。そのことが安全無視の見切り発車につながってしまったのでした。






■3,安全を切り捨てた帰結

そして5月14日を迎えます。この日、『高原鉄道列車は予定より出発時間が約十一分遅れて』いました。運行担当の中村課長の頭には、この遅れを取り戻すことがプレッシャーとしてあったことでしょう。

1991年5月14日。
走っている筈がない下り列車が信楽駅方向に向かっていることを示す表示灯が制御盤で点灯しているのを見て、信号設備会社から派遣されていたY氏を呼びに行ったとき、Y氏は臨時集札所で乗客の切符を集める手伝いをしていました。しかも、Y氏は信号設備の専門家ではありませんでした。
ここに2つの問題が見えます。

1つは、信号設備会社の人までも狩り出さなければならない人手不足であったこと。
不採算路線として切り離され、それでも地域の足として運営を続けるために人手が大幅にカットされたことがその背景としてあります。

もう1つは、安全を守るための専門家が充員されなかったこと。
ここに、コストカットのために何が犠牲にされたかが如実に現れています。ある問題について「組織が責任を果たす」ということは、「その問題についての専任者を置く」ということです。安全について専任者がいないということは、安全に対して責任を果たすつもりがないということです。

『増員もされず、信号の専門家が補充されることもなく、社内には信号システムのことをちゃんと理解できている人はだれ一人いないような状態でした』という裁判所への証言でもその状況が裏づけられます。

この時、職員が車で小野谷信号所に向かおうとしますが、陶芸祭人気で国道が渋滞して進めず駅に戻りました。そして戻った時、中村課長は、列車をすでに見切り発車させていました。3日に見切り発車してに事なきを得たことも背を押したかもしれません。

そして、信楽発貴生川行きの上り列車と、京都発信楽行きのJR西日本下り列車「世界陶芸祭しがらき号」が正面衝突し、42名が死亡614名が重軽傷を負う大惨事が起こったのです。



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