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人間は環境の動物である

2007/09/24(Mon) Category : 世代間連鎖
交流分析(TA)の「人生脚本」の観点から言えば、人は10歳前後に自分の生き方のシナリオを創る。それまでの経験を総合して、自分は大体こういう人間で、この先大体このように生きていくのだろうなぁ、という漠然とした方向性を決めるのである(←このことは、カウンセリングをしていてほぼ頷くことができる)。

つまり、10歳頃までに経験した時代環境、社会環境、地域環境、生活環境、家族構造、家族固有の価値環境などが、自分の生き方に大きく影響すると言うことだ。だから、自分がその頃をどういう環境下で過ごしたかを知ることは、自分を知る上でとても大事だ。

「生き代り 死に代りして 打つ田かな」 (村上鬼城)という悠久の時代ならば、親子はあうんの呼吸でも通じあえただろう。しかし、7倍速で生きなければならないドッグイヤーの時代である。
(新技術が一夏のセミの期間くらいしか持たずに次々に革新されていく様をシカダイヤーと呼んだ時代もあった --;)

7年でどんどん変化していく環境にあっては、親子の感覚・価値観が異なっていくのも仕方のない部分がある。

下記にそれぞれ例を挙げてみるが、時代の流れ、トップの方針次第で、まるで潮の満ち引きのようにいとも簡単に人の考え方や社会システム、国の形までもが変わっていくことが分かると思う。私たちは否応なしにそれに翻弄される。
その潮の満ち引きのどの時点に自分がいたのかによって受ける影響が大きく異なることに気づくと思う。




●時代環境
・天動説の時代に地球が動くなど考えられず、江戸時代に女性が足を出して歩くなど考えられなかったように、その時代の価値観に考え方や行動が影響される。
・鬼畜米英が親米になったり
・農本主義から工業立国へと価値を徹底的に転換したため、国土の風景が変わったり。
・社会に出ることが会社に入ることになったり(→行き着くところは個人の法人化?)。
・国がイデオロギーの呪縛から逃れることができたために高度成長を遂げ一億層中流になったり
(参:「高度成長をもたらした日本国憲法」)
・国がグローバル化という呪文にあおられて、瞬く間に生存権まで脅かされるワーキングプアの社会に突入したり
(参:「21世紀初頭-日本の世相」)
・映倫の基準など時代(社会通念)の変化とともにどんどん変わってきている。


●社会環境
・鉄道や郵便局など社会的インフラ(セーフティネット)を列島全土に整備したJapanは未曾有の繁栄を謳歌したが、鉄道や郵便局がなくなっていった地域は瞬く間に壊死を起こしていった。
(参:「民営化の先輩JRが教えるもの」)
ブロークンウィンドウ実験などに見られるように荒れは伝播していく。


●地域環境
・降るような星が見える地域もあれば、ネオンが明るくて眠れない地域もある。
・子どもたちが路地で遊べる地域もあれば、車に脅かされて人間が小さくなっている地域もある。
・3世代同居が当たり前の地域もあれば、子を私立中学に入れるのが当たり前の地域もあり、車で毎日学校の送り迎えするのが当たり前の田舎もあれば、ヒエラルキーができあがっている北朝鮮のような地域もある。
・世間体などは、この地域環境に大きく影響される。


●生活環境
・住環境(高層と平屋では子どもの外への出る頻度などが異なる等)や転勤など生活の安定度、他。
・ワークライフバランスなどから派生する問題など


●家族構造
・源家族:親族の関係性、どのような位置関係で住んでいるか他
・現家族:共働き、父子家庭、母子家庭、兄弟の数、兄弟姉妹の構成、自分がその何番目であるか等々、家族構成による影響。


●家族固有の価値環境
・その家族を縛っている価値観。たとえば、「短大生遺体切断事件」を起こした「歯科医師にあらずんば人にあらず」とでも言うような歯科医至上の価値観や堤家の「家憲」など、その一族郎党を縛っている価値観。





まぁ、思いつくままだが…
私が家族カウンセリングを行うに当たって、対象となる当事者だけを見るのではなく家族全体を見、そして両親のそれぞれの系譜まで見るのは、上記に見たように、すべての「人間は環境の動物」であり、その影響から免れた“突然変異”ということはあり得ないからだ。

その環境が閉塞空間になればなるほど、その内部から受ける影響が絶対化していく。そして、閉塞空間になればなるほど、その空間内部は破滅に向かって暴走していく。(「一億玉砕」にいとも簡単に向かった日本や現北朝鮮、あるいは国民から乖離して派閥争いを続けた自民党や隔離空間の社保庁を見るとよい)

なぜ破滅に向かうのか。
それは、生物は開放定常系だからだ。
外界からのフィードバックがなければ自壊していく。
(参:「宮城警察官刺傷事件~生物が自閉するわけ」)

上記を読めば、ブラックボックスとなった「家庭」という存在がいかに怖い存在かが分かると思う。閉塞空間の中で親の影響力は絶対的となっていく。

以前と異なり、今は「親の影響力」を真剣に考えなければいけない時代になってしまっている。





さらに、上記の区分を越えて(あるいは複合して)、過去の時代が現代に影響を与えている例を次に見てみよう。「現在の20代の心の病の背景に戦争がある」と言えば、ピンと来ない、かもしれませんね。一体どういうことでしょう…ネ。


<続く>
20代の心の病~戦争後遺症という視点

・(参考)時代が世代間連鎖に与える影響-日本全国版





【関連記事】
1.人は情況の囚人(人は環境の動物)である
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監獄実験、割れ窓理論とゼロトレランス
自由からの逃走―(4)サティアン化する社会
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普通の国の農村なら、何軒か有力地主がいて、医師が逃げ出したり来なかったりすると、そこの責任にされるし、無医村では小作も他へ行ってしまって所有田畑の価値が下がるので村人の勝手を規制するのだけど、
GHQの「農地解放」や「経済民主化」で、地方の地場産業や民主主義を担うリーダーが除去されて再生出来ないようにされていて、団栗の背較べのままの見栄の張り合い足の引っ張り合が続く体制となって、陰湿化し、全体が疲弊するようになる。

民主主義は、成功して金持ちになってリーダーになって欲しいと周りが思うような人が成功し、有力な家で有り続けて欲しいと周りが思うような家が有力な家として続くようでないと機能しない。

 

村で唯一の医師が辞意。献身的な医師に対する村人の心無い罵声が背景か

怖いですなー。



村で唯一の医師が辞意。献身的な医師に対する村人の心無い罵声が背景か…秋田・上小阿仁村
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1437682.html



156 :
田舎の年よりにとって悪口は最高の娯楽だからな
年下を叩いて自分のちっぽけな自尊心を保つしか生き甲斐が無い

512 :
まあ、無医村ってのがなんで起こるのかは↓読んでくれや。
まさに日本社会の縮図だよな。

http://www.izai2.net/muison.html

〝…無医地区なんて、現実はこんなものです。 素朴だの朴訥なんて物は、都会人の虚しいロマンに過ぎません。 無医地区には、必ずその地区で生まれ育った若者ですら、耐えられなくて都会に脱出する原因となる因習が存在し、医師が行った当初は歓迎されても、半年経たないうちに、医師はその因習と戦わねばならなくなります。 都会地でも似たような事をする馬鹿な住民はいます。 しかし都会の住民の多くは、他人を傷つけないで生活するテクニックを自然に身につけていますので、医師としても都会の方が精神的に暮らし易いのです。 これが、医師が増えても無医地区に開業しようとする医師が増えない本当の理由です。〟

 
    
 
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