覚醒剤は死に至る薬
昨年、ドリカムの元メンバー西川隆宏容疑者(41)が逮捕され、つい最近も「光GENJI」のメンバーで俳優の赤坂晃容疑者(34)が逮捕されたばかりだ。
覚醒剤については、戦後混乱期~S32年が第1次乱用期、核家族及び中学生の不登校が増え始めるS45~S56年に東京深川で覚せい剤乱用者が陰惨な通り魔殺人事件を起こす時期が第2次、そしてH7~現在が第3次乱用期にあるという。
H4年以前は40歳前後の逮捕者が多かったのが、第3次期は平均年齢30歳、さらに小中学生にまで及び始めている。
http://www.o-clinic.com/anti-drug/essay/kariyama1.htm
第2次は暴力団の資金源だったが、第3次は外国人やインターネット、携帯電話も絡んで販路が増え市場も拡大し、「市場経済」の常で価格が下がって拡大が続くという悪循環になっている。
さらに、向精神薬「リタリン」なども、覚醒効果があるということで売買されている。
http://www.j-cast.com/2007/09/21011580.html
上記の記事によると、新宿区の診療所「東京クリニック」は、リタリン処方を「乱発」し、「まるで覚せい剤を販売しているようだ」と批判が寄せられ、ネット上でも「簡単に処方が出る」と「人気」の診療所だったらしい。
mixi(ミクシィ)にもリタリンの売買・譲渡を促す内容のコミュニティがあり、熊本県警に逮捕される事件が起こっているようだ。
発売元のノバルティスファーマによると、海外でもリタリンは使用されているが、うつ病治療として使用されているのは日本だけとのこと。
いろいろと記事を読むと、こんなにも覚醒剤に対する敷居が低くなっているのかと驚く。
その背景に、空虚な心が広がっていることを実感する。
自分がいない、生きているのか死んでいるのかわからない空虚、
自分の目を覚ましたい-そういう飢えた心が求めるものが、その名も覚醒剤なのかもしれない。
しかし、実際は目を覚ますのとは逆の方向に暴走する。
やがて、幻覚や幻聴につきまとわれるようになる。
覚醒剤に手を出す心理の背景には、自分が空虚になっているつらい現実があると思う。
が、薬を使って現実から逃げようとすると、薬なしではいられない体になる。その怖さを知って欲しい。
昼のテレビで、薬物依存症者の更生を目指すダルクという施設の人のインタビューを見た。
DARC(ダルク)とは、Drug(ドラッグ)のD、Addiction(アディクション=嗜癖、病的依存)のA、Rehabilitation (リハビリテーション)のR、Center (センター)のCを組み合わせた造語らしい。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/i-darc/
「ダルク」で検索すると、各地に「○○ダルク」という施設があるようだ。
テレビのインタビューに出た施設長自身が、かつての薬物依存症者であった。
スタッフの方も、「お前を殺して私も死ぬ」と親から3度刺されそうになったそうだ。それでも、覚醒剤は好きだと言い切る。毎日、「いつか飲んでやろう。しかし、今日1日我慢しよう」を積み重ねてここまで生きてきたと言う。
入所している青年。あらゆるものを手放して覚醒剤に変え、全てを失い、最後は感情までも失い、それでも薬だけが欲しかったと言う。
生活保護費を受け取ったその足で覚醒剤を購入する人間もいるくらいだ(↓下の記事)。中毒とはそういうものなのだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071018/crm0710181336016-n1.htm
全てを失い、体もボロボロになり、さらに自分(の感情)まで失って、薬の虜になっていく。
治癒という概念はない。
一生涯、「今日1日我慢」を積み重ねて生き続けることが、唯一の自分を救う道だ。
自分自身と一生闘い続けることが、自分を救う道
-それが、どんなに過酷なことかがわかるだろう。
ダルクによれば、社会復帰できる人は3割。
残る7割は、施設に居続けるか、再度薬におぼれるか、死ぬか、であるという。つまり…7割の人は豊かなはずの自分の人生を生きられないままに死んでいくと言うことだ。
全ての人は、自分自身と闘わなくては本当の自分の人生に到達できない。
自分と闘うのがつらいから、何らかの依存へと逃げる。
しかし、それは依存症となり、結局は自分と闘わなくてはならない。
つまり…
人生、自分との闘いから逃れることができないようになっているのだ。
ならば、
つらいけれど、
自分の過去を振り返って、自分を見つめ直そう。
<続く>