「いい子」は万病の元
「反抗期もなくいい子だったあの子が…」
事件が起きたときに、こういう言葉がご家族や近所の人から聞かれることがあります。なぜ、「いい子」が事件を起こすのか?
結論から言えば、子供がいい子でいると言うことは
親が親ではないからです。
親が親ではない… 一体どういうことでしょうか?
「親」という字の意味を思い出してください。
親とは、子の気持ちを受けとめ、子の試行錯誤を見守る存在(Being)です。
つまり、親の役割はただ2つ。
1,気持ちを受け止めること
2,見守ること
気持ちとはその人そのものであるから、子の存在を認め受け止め、そして子のなす事を見守ってあげる-このような後ろ盾があれば、子は自信を持って存分に自分の人生を生きられるのです。
逆にこの2つが出来ていない次のようなときは、親とは言えません。
1,子の気持ちを受け止めない
2,見守らない(放置する、もしくは働きかける(Doing))
上記の場合は次のような状況的背景が親の側にあります。
・自分が親の愛情に飢えた大きな子供(常に我が子ではなく、自分の親を見ている)
・愛情不足のインナーチャイルドが我が子に嫉妬する
・自分が吐き出したい感情を一杯一杯抱えていて、子の気持ちを受け止めるだけの余裕がない
・自分の感情(怒りや愚痴)のはけ口として子供を利用する(躾の名を借りて)
・自分の存在不安解消の道具として子供を利用する(過干渉、過保護)
・自分が人(親)に認められたくて、自分の思うとおりに子を支配(コントロール)してレールに乗せようとする (「おまえ(あなた)のため」と言いつつ)
・世間に後ろ指指されないように躾第一(母子家庭などにありがち)
・家名を守るために、その家の価値観を刷り込むことが優先(家業(医者、学者、農家、商家)、世襲、旧家、名門などの家にありがち)
・地域にあおられて親が競争している(学歴の高い親の住む新興住宅地など)
・自分が一人で闘って生きてきたと思っている人は、気持ちに対する洞察力が身についていない(自分自身を闘う道具にしている。自分の気持ちにも鈍感なので人の気持ちはわからない)
・過酷な環境を生きた人は、そもそも気持ちの問題は眼中にない
(…まぁ、ここまで挙げただけでも、子供って本当に親の好きなように翻弄されていますね…)
子は親の状況を敏感に察知しています。
子が子供らしくなく、親にぶつかっていくこともせず、いい子でいるとしたら、それは、上記のように親が親ではないからです。
いい子でいる間、子は我慢し続けています。
そして、吐き出したい感情を溜め込んでいきます。
子が親に気を遣っているのです。
さらに、自分が自分でいられないこと、自分が道具扱いされていることに対して、無意識のうちに怒りを溜め込んでいきます。
親は自分のことで精一杯ですから、子供がどのような心理状況に置かれているのか関知しません。
その間子供は、自分の存在(感情)は無視され、操り人形(マリオネット)のように操られ、いわばディスカウント(人として尊重されないこと)を受け続けているわけです。
そして、この後、このシリーズで述べていくような様々な症状に苦しみSOSのサインを出します。が、親がそれにも気づかないとき、“事件”が起きるのです。
「いい子」というのも、れっきとした病理症状だと思ってください。
むしろ、様々な病理症状を生み出す母胎となる症状なのです。
「“いい子”は万病の元」なのです。
・「いい子」の病の克服-アダルトチャイルド(AC)及びその家族の再生
・「普通」って、何?