モンスターペアレントへの対処法
「親」という権力を傘に、我が子の教育者に対してパワーハラスメント(パワハラ)を行うハラッサーのことである。
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●「ハラッサー」とは、
子供を自分の手足(道具)として扱う親の下で自分の気持ちを抑圧して育ち、ディスカウントを受け続けて育ったため怒りを溜め込んでいる人のことである。
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●「ディスカウント」とは、
人の数(カウント)に入れないこと。一人前としてみない、人扱いしない、人として尊重されていないこと。人は自分の存在を尊重されなければ、誰でも怒りを持つ。また、そこには「支配と服従」の関係しかない。
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●「支配と服従」は、
いとも簡単に親子の間に入り込む関係である。しかし、生まれてきた子供は最初からその関係性の中にいるから、そういうものとして受け止めてしまい、自分の中に蓄積されていく親に対する怒りに気づきにくい。
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●「怒り」は、
本人が無自覚でも“そこ”に存在している。視線、声の大きさ、言葉遣い、仕草、行動などの全てに怒りがにじみ出ている。怒りをコントロールしろと識者は言うがコントロールできるものではない(本人は普通と思っているから)。 (*1)
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●「キレる大人」とは、
「怒り」に支配されている大人のこと。漏れ出すくらいだから、怒りは常に出口を求めている。そして自分に正当性があると感じるや、ここぞとばかりに爆発する。「躾」や「注意」、「正義」などの大義が、怒りを吐き出すための理屈となってブレーキがきかない。酒に飲まれていると同様、怒りに飲まれていると言ってよい。怒りの衝動に突き動かされている人間。 (*2)
つまり、モンスターペアレントとは、自分の怒りを吐き出すターゲットを物色しているモンスターです。ターゲットを見つけるとここぞとばかりに執拗に攻撃します。背景にあるのは、自分の親に対する無意識の怒りです。(*3)
これまでの私の体験から言えることは、世の中全ての問題は、結局自分と自分の親との問題に帰結していくということ。
モンスターペアレントは、外に矛先を向けるのではなく、自分自身と対峙しなければならない。不満を外にぶつけ続けるのではなく、自分で自分を救うことに挑戦しなければならないのです。自分から逃げ続けることは出来ないのですから。
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自分から逃げ続けた結果、人を犠牲にした事件が起こりました。
2002年に狭山にある保育園の所長が焼身自殺した事件です。
子供同士のひっかき合いなどよくある話。
しかし、モンスターペアレントにとっては怒りを吐き出すチャンスでした。
そして、見つかったターゲットを逃そうとしませんでした。
約4カ月間、付きっきりでの保育を命じ、苦情を繰り返し
さらに市役所に「誠意がない」と所長を批判する手紙を送りつけ…
その約1週間後に保育所敷地内で灯油をかぶり焼身自殺しました。
「人望も厚く、子どものことを一番に考えてくれる人で、惜しい人だった」とのことです。悔しいことです。
以前、職場で抗議の自殺をしようとする女性から電話を頂いたことがあります。
「休日の職場からの電話」
逃げ場のない状況の中で、くどくどと毎日洗脳され、思考停止状態になっていました。
上司に言われたように、自分がいない方がいい子に育つとさえ思い、自分がいなくなって後の子供のことを考える余裕さえなく、ただ疲れていらっしゃぃました。
その方は鬱になって思考停止した中で、ただ抗議の気持ちだけがふつふつと残っていたのです。もうラクになりたいという思いと、抗議の怒りと…それが、どうせ死ぬなら職場で死んでやろうと思わせたのでした。
今回の事件では、当初「精神疾患に起因したと考えるよりも抗議のための自殺と考えられ、公務上とは認められない」と公務外災害認定にされていましたが、「精神疾患と自殺との間には因果関係がある」と判断し直されて公務災害と認定されました。
「焼身」という自殺方法をとっていますから、当然抗議の意味はあったでしょう。
しかし、方法の前に、“自殺”という道を選ぶこと自体、既に“精神疾患(うつ)”になっているということです。行政はこのことをしっかりと認識してほしいと思います。
さて、「怒りの国」日本。
今や、「キレる大人」も「モンスターペアレント」も至る所にいます。出逢いは避けられません。モンスターペアレントにどう対応すればよいのか。組織としてどのような対策をとればよいのか。そのためには、まず相手を知ってください。
無理難題を課し、繰り返し追いつめ、どう努力しようが「誠意がない」と追い込み、周囲までもを巻き込み…まぁ、あきれるくらい典型的なハラッサーの行動パターンそのものです。
ということは逆に、恐れることはありません。
ハラッサーの手口というのは、どれもこれも超ワンパターンですから。手口がわかれば、落ち着いて眺めることが出来ます。 実際、私の所へ相談に来られて親や配偶者の行動パターンがわかって以降は、落ち着いてその行動を観察できるようになった方が沢山いらっしゃいます。
次に、一人では対応しないことです。
相手がやってきたら、最低でも二人、できれば三人で対応してください。心強いだけではなく、文殊の知恵も生まれるでしょう。
最後に、気持ちを受け止めることと筋を通すことは区分することです。
自身の教育方針に誇りを持つのなら、時に毅然とした態度で親に向かうことも大切です。
それから、
教育行政は現場に任せること。
上が締め付けるから、現場は個々人が忙しくなって連携がとれない。
個々の現場によって状況は様々に違うのだから、人を信じて全てを現場に任せよ。
【ご参考】
<モンスターペアレント>
学校や教育委員会などに、自己中心的で理不尽な要求をする児童・生徒らの保護者。学校などを常に監視し、すぐに乗り込んでくることから、ヘリコプターペアレントとも呼ばれる。「仲の良い友人と同じクラスにしろ」「子どもの嫌いなおかずを給食に出すな」などといったクレームをつけ、教員に土下座を要求したり、夜間に長時間にわたって電話をかけたりするなどの例があり、教員の中には精神的に追い詰められ休職するケースもある。弁護士らと連携した対策組織を設けている教委もある。【2008年1月10日東京新聞】
(*1)「怒り」を理解しよう(1)-怒っているのに怒っていないという人
(*2)さらば!キレる大人(1)-定年退職後、突然キレだした理由
(*3)「いじめ」って何?(1)-感情吐き出しのバケツリレー
・「ハラッサー」と「モンスター」と「クレーマー」の違い
・「たけしの日本教育白書2007」~(2)壊れていく教師
・ハラスメント・スクール
・自縄自縛の教育行政